花も実もある楽しい読書

人生とテニスに役立つ本

小説

『銀河英雄伝説5巻 風雲編』35年目に読み返して思うこと

この長い物語を何度読み返したか分かりませんが、いくつになっても面白い。そしてこの年になったからこそ、胸に響く一節と思うことも。5巻からはこちら。 私は最悪の民主政治でも最良の専制政治にまさると思っている。 ラインハルト・フォン・ローエングラ…

『銀河英雄伝説4巻 策謀編』35年目に読み返して思うこと

この長い物語を何度読み返したか分かりませんが、いくつになっても面白い。そしてこの年になったからこそ、胸に響く一節と思うことも。4巻からはこちら。 ユリアン、現在の状況は古来から固定しているものとわれわれは誤解しがちだ。だけど、考えてもごらん…

『銀河英雄伝説3巻 雌伏編』35年目に読み返して思うこと

この長い物語を何度読み返したか分かりませんが、いくつになっても面白い。そしてこの年になったからこそ、胸に響く一節と思うことも。3巻からはこちら。 歴史家を志していたヤンの信念。ペンは剣より強し。 剣よりペンが絶対に強い、と信じるヤンであった…

『銀河英雄伝説2巻 野望編』35年目に読み返して思うこと

この長い物語を何度読み返したか分かりませんが、いくつになっても面白い。そしてこの年になったからこそ、胸に響く一節と思うことも。2巻からはこちら。 ヴェスターラントへの対応にあらわれる、オーベルシュタインとキルヒアイスの信念の違い。自由惑星同…

『銀河英雄伝説1巻 黎明編』35年目に読み返して思うこと

この長い物語を何度読み返したか分かりませんが、いくつになっても面白い。そしてこの年になったからこそ、胸に響く一節と思うことも。1巻からはこちら。 恒久平和なんて人類の歴史上なかった。だから私はそんなもの望みはしない。だが何十年かの平和で豊か…

一気読みをオススメするSFバディ小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

著者アンディ・ウィアーの前々作、2015年の映画「オデッセイ」でマット・デイモンが演じる主人公は火星に一人取り残されましたが、今回は一体何が? 天文学や恒星科学、物理や化学に関する科学的描写を極力正確なものに、という著者の努力の賜物で、フィクシ…

『海の底』成人男性から女子中学生までハマる潜水艦?小説

読み始めて9ページで度肝を抜かれる…あまりに意表を突かれ、すごく先が気になってしまいます。まだ裏表紙の内容紹介にも目を通していない方は、ぜひそのまま読み始めてください。 その1点に限って突拍子もなく、それ以外のストーリーはリアルに展開します…

『日本沈没』重い問いにしびれたのち、一周まわって楽観的になった原作

タイトルはみんな知っている1973年発刊の古典的なパニック小説。平成の震災を経験し、気候変動が大きな社会問題となっている今、2021年のドラマの原作にもなりました。ストーリーの枝葉は大きく変わっていますが幹は同じかな。原作を読んでみると、半世紀前…

『すばらしい新世界』こんな未来もあり?考えさせられてしまうディストピア小説

こんな未来もありかもしれない… 副作用なく気分をあげる錠剤「ソーマ」や欲求を充足する「フリーセックス」。これは割り切ってしまえばユートピア? 生産性と安定をひたすら追求し、新常識に疑問を持たないよう、工業的にクローン生産され、機械的な刷り込み…

『そして、バトンは渡された』暖かい気持ちになる素敵な小説

母親が二人、父親が三人。親の死別や離婚が繰り返され、高校生の今は二十歳しか離れていない"父"と暮らす優子。悲しいこと、切ないことはたくさんあった。でも、周りからよく同情されるけれど「困った。全然不幸ではないのだ。」と思える彼女。 彼女との出会…

『ジャック・ライアンシリーズ』トム・クランシーによる最高のテクノスリラー小説

冷戦期に作家デビューしたトム・クランシー。軍事や諜報活動を扱うテクノスリラーとして、政府関係者にも評価されるほどリアリティがあるのですが、それだけにとどまりません。ハリソン・フォード主演で映画化されるほど魅力的な登場人物たち。そして何より…

『運転者』自分の機嫌は自分でとろう。小説として面白い自己啓発書

無料で読めるAmazon prime readingの小説の中でも評価が高く、七十代の方が「いくつで読んでも胸に響く」とコメントされていたのが印象的でした。 不運を嘆くばかりの四十路の営業マンが、不思議なタクシーとの出会いから変わっていくファンタジーです。 胸…

『最後の医者は桜を見上げて君を想う』生を全うしよう、と背中を押してくれる小説

人の死を描いて、こんなにも生への希望を感じさせる小説はすごいです。 あなたの余命は半年です―ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副院長・福原は奇跡を信…

『下町ロケットシリーズ』明日から頑張ろう。すべての働く人への応援歌

ドラマ化されている池井戸潤氏の人気シリーズのひとつ。『半沢直樹シリーズ』同様、必ず最後に正義は勝つw ただし、半沢シリーズが「ヒーローもの」だとすれば、こちらは「人情もの」の良さがあります。 かたや、超絶優秀な銀行員、半沢直樹による、とてつも…

『邦人奪還』元自衛隊特殊部隊小隊長が描く、手に汗にぎる軍事小説

著者の伊藤祐靖氏が、自衛隊初の特殊部隊、海上自衛隊特別警備隊の元小隊長! ご自身が『書いているほとんどにはモデルがいますし、ストーリーや物語設定は架空ですが、切り取った「部分」は事実なんです。その意味では、見たことをそのまま書いているだけだ…

森浩美 家族短編集シリーズ 家族とぶつかったら1、2章服用しましょう。いい切り替えができます。

家族なのに、傷つけあう。家族だけど、わからない。夫婦や親子でけんかをしたり、不安にさせたり心配をしたり。誰しもあると思います。 気持ちがささくれだったとき、森浩美さんの家族短編集を読むと、気持ちがほわっとします。家族の大事さを思い出させてく…

『三体 II 黒暗森林 上・下』普遍的な真理、有効な戦略は単純。発想が大きくなるSF小説

第一巻『三体』で双方の存在を知った三体文明と地球文明。三体文明から地球を侵略すべく送り出された星間艦隊が地球に到達するのは四百数十年後。現時点では科学技術で圧倒する三体文明だが、それだけの時間があれば地球文明は十分に対抗可能な科学技術を発…

『ソロモンの偽証』怖くて、考えさせられて、爽快で面白い小説

久しぶりに読んだ宮部みゆきさんの作品は、中学生の娘に進められて。本当に、この人はなんてすごい物語を書くんでしょうか。初めて読んだ『模倣犯』は、夜の8時に読み始め、怖い思いをしながら朝の8時まで、夜通し読み続けたのを覚えています。この物語は…

『明るい夜に出かけて』若者の苦しさと素晴らしさがしみる小説

マジョリティでない者の生きにくさ。好きなものを大切に追うことの力。コミュニケーションが得意でない苦しさ。好きな者同士がつながるネット時代の可能性。 いつの時代にも、いまの時代だからこそ、若者たちが抱える苦しさと、若者らしい素晴らしさ。二人の…

『蜜蜂と遠雷』人と音楽の素晴らしさに感動する小説

浜松ピアノ国際コンクールをモチーフに描かれた、三人のピアノの天才と、彼らを取り巻く音楽を愛する人たちの物語。コンクール出場者である四人の葛藤や成長は、彼らの互いを想う優しさも相まって感動させてくれます。そして楽器に縁遠い私のような読者もワ…

『県庁おもてなし課』地域活性化したくなる小説 ③

この物語はフィクションです。しかし、高知県庁におもてなし課は実在します。 という書き出しの本書。高知県出身の有川浩さんが、県庁おもてなし課から観光特使を依頼されたことをきっかけに生まれた作品。面白い小説であると同時に「地域活性化」や「企画の…

『三匹のおっさん』老若男女が爽快かつハッピーになれる小説

『還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか、とかつての悪ガキ三人組が自警団を結成。剣道の達人・キヨ、柔道の達人・シゲ、機械いじりの達人の頭脳派・ノリ。ご近所に潜む悪を三匹が斬る!その活躍はやがてキヨの孫・祐希やノリの愛娘・早苗にも影響…

『三体』壮大なスケールでリアリティのある中国発SF小説

アジア人として初めて、SF界で特に名誉あるヒューゴー賞に輝いた中国人作家、劉慈欣のSF大作。ヒューゴー賞はかつてハリーポッターシリーズも受賞しているぐらいで、ストーリー性に優れたファンタジーを重視しているのかもしれません。物語の前半は、中国の…

『魔球』大人も子供も感動する青春推理小説

東野圭吾さんが好きな中1の娘に「ちょっと怖かったけど、マスカレードホテル以上にオススメ!」と推された小説。マスカレードホテル自体が二人ともかなり楽しんだ本でしたし、娘からそのように薦められたら読まない訳にはいきません。読み始めたら止まらな…

中学生と親子で楽しめる小説11選

本当に面白いものは、大人でも子供でも面白い!中学生の子供たちと親子で楽しんだ小説をご紹介します。 1.きみの友だち 重松清 2.風が強く吹いている 三浦しをん 3.精霊の守り人 上橋菜穂子 4.図書館戦争 有川浩 5.一瞬の風になれ 佐藤多香子 6.…

『凡人のための地域再生入門』地域活性化したくなっちゃう小説 ②

地域再生を促進したい筆者が同志に共有したい、成功に必須なロジックと、苦難に打ち克つためのエモーション、その両輪を伝えるべく、小説形式で地方での事業のリアルが描かれています。 シンプルに面白い。筆者の実体験がベースとやるストーリーは現実的、気…

『プラチナタウン・和僑』地域活性化したくなっちゃう小説 ①

人生100年時代。日本の社会構造が変わる中で、地方の経済が成り立っていくためには、やり方を大きく変えなければならない。元エリートサラリーマンが、町長として宮城県の田舎町で奮闘する、すごく面白い小説です。同時に、自分がサラリーマンとして20年以上…

『信長の原理』武将と企業人の共通点を感じる小説

垣根涼介さんの歴史小説。織田信長は、既存の枠組みに捉われずに戦争、商業、組織構築を刷新し、人材の効率的活用に尋常ではないレベルでこだわった故に成功したと描かれています。 戦国という社会が停滞しつつも勢力が均衡している時代に、他を圧倒する新し…

『100万ドルを取り返せ』ジェフリー・アーチャー 稀代の小説家の処女作

破産歴や逮捕歴などの波乱の経験も重ねたイギリスの元国会議員にして稀代のストーリーテラー。この処女作は既に40年以上も前の作品ですが、現在も人気作家であるところがすごいです。 父親の書棚で見つけて読み始め、コン・ゲームの面白さに夢中になり、他の…