この長い物語を何度読み返したか分かりませんが、いくつになっても面白い。そしてこの年になったからこそ、胸に響く一節と思うことも。1巻からはこちら。
恒久平和なんて人類の歴史上なかった。だから私はそんなもの望みはしない。だが何十年かの平和で豊かな時代は存在できた。我々が次の世代に何か遺産を託さなくてはならないとするなら、やはり平和が一番だ。そして前の世代から手渡された平和を維持するのは、次の世代の責任だ。それぞれの世代が、後の世代への責任を忘れないでいれば、結果として長期間の平和が保てるだろう。忘れれば先人の遺産は食いつぶされ、人類は一から再出発ということになる。まあ、それでもいいけどね。
要するに私の希望は、たかだかこの先何十年かの平和なんだ。だがそれでも、その十分の一の期間の戦乱に勝ること幾万倍だと思う。私の家に14歳の男の子がいるが、その子が戦場に引き出されるのを見たくない。そういうことだ。
いまの日本に問題はいろいろありますが、江戸時代以来の、長い平和を謳歌していることは間違いないですね。
社会は急にはよくならない。いきなり理想郷は現れない。未来永劫戦争がなくなることもない。でもいまの平和は、少しでも長く保ちたい。自分勝手ですが、自分の子供、その子供が暮らす時代、暮らす国、そこでの戦争は絶対に避けたい。
ヤン・ウェンリーに学びたい人生のスタンス。理想を胸に、現実で譲れないことは自分の中でハッキリさせ、そのための努力をする。あとは「理想論」を追い求めず、気を楽にして生きたいよね、と。
独裁国家との融和を夢想する対話原理主義でも、覇権国家と真っ向争う自主防衛原理主義でもなく。フェザーンのようにとは言わないが、自力を貫くところ、他国を相互利用するところを使い分ける。インテリジェンスもビジネスも含めてズル賢く、同時に理想ばかり追わずに気ラクにたくましく生きる。
そんな営みが国にも人にも必要なのかなと思いました。
