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『銀河英雄伝説5巻 風雲編』35年目に読み返して思うこと

この長い物語を何度読み返したか分かりませんが、いくつになっても面白い。そしてこの年になったからこそ、胸に響く一節と思うことも。5巻からはこちら。

私は最悪の民主政治でも最良の専制政治にまさると思っている。

ラインハルト・フォン・ローエングラムによって専制統治される銀河帝国と、ヨブ・トリューニヒトを民主政権のトップに置く自由惑星同盟。両者に代表される選択肢のどちらがいいのか?この物語の主要命題のひとつでもあります。

暮らし向きは最良の専制政治下の方がいいに決まってる。どっちの政治体制にしても、いい運用をされるのがいいに決まってる。「最悪の民主政治」と「最良の専制政治」のどっちがいいかはとても難しい問題です。

個人的には、一人の人間が長期に渡って全てを決めるような仕組みは、人間社会にあっていないと思います。

理由は、多様性が活かされなくなる、硬直して変われなくなるリスクが高いから。能力も見識も高いリーダーが指導すれば、ある程度の期間は上手く運営される可能性が高いし、最初は変化を起こしやすいと思います。

しかし組織も社会も常に変化し続けるので、単一の考えだけでは必ず対応していけなくなる時期が来ます。

人間社会が突然にめちゃめちゃ良くなることはないし、この世に完璧な社会なるものはありえないと腹をくくってみる。

そうすると、多様な考えを生かす、自由に考えることを許容することを目指す、そういう民主政治が、及第点以上の社会、少しずつよい社会を目指すには、とても大切なんじゃないか、と思いました。