花も実もある楽しい読書

人生とテニスに役立つ本

『UAV あなたが知らない あなたの会社だけの強み』販売戦略の再検討時に手元に置いておきたいガイドブック

これからプロモーション、販売戦略を考え直したい自分にとって、素晴らしい教材でした。繰り返し確認したい箇所を備忘録として。

顧客のインサイトを捉える重要性

まずは、顧客が求めるものを理解し、逆算的に要件を洗い出し、顧客が対価を支払っても買い続けたくなる価値ある商品やサービスを開発すること。そして、その価値がしっかりと伝わるような広告を制作し、その価値を限りなく正確に伝達すること。この順序で進めることが、顧客に選ばれ続ける最強ブランドをつくり、持続的に売り上げを伸ばすための秘訣である。

 

顧客インサイトを踏まえたキャンペーンアイデア

ビジネス課題:「SK-IIはいつかは使いたいブランドだけれど、今じゃなくてもいい」

顧客インサイト:「数年前の肌の方が美しかった。これ以上肌が衰えるのは嫌だ」

アイデア:「5年前・5年後」

価値の伝達:「5年前のあなたの肌と今の肌を比べてみてください。5年後の肌も美しくあるために、今始めよう」

 

顧客インサイトを踏まえたセット品開発

ビジネス課題:「高価なスキンケア商品は、自分の肌に合わなかったら無駄になる」

顧客インサイト:「スキンケア商品は一定期間、適切な量を正しい使い方で使用しないとその効果を実感できない」

アイデア:「トライアルセット」

価値の伝達:「1万円以下で効果を十分に実感できるトライアルセットを作りました。一度試してもらえれば良さが伝わる自信があります」

 

Unique Attractive Value(顧客に選ばれ続ける価値)の開発

顧客の理解:「なぜ買わないのか」と買わない理由をつぶしていくことではなく、顧客が自社ブランドを「なぜ買ってくれているのか」を特定する。そして、顧客が自社のブランドを数ある選択肢の中から選び、「買う理由」を明確化する。

強みの理解:自社の「顧客は誰か」、「顧客のインサイトは何か」、「顧客に選ばれ続けるための必要な要件、自社ならではの強みは何か」、に意識を向ける。着目すべきは、「競合との差」ではなく、「自社の強み」と「顧客のインサイト」になる。「違い」は「強み」に転換できる。

 

必要な要件:1)自社の強みに立脚しているか、2)顧客のインサイトに応えているか。

SK-II:1)唯一無二の成分ピテラで、2)いつまでも透明感のあるクリアな素肌へ。

 

顧客視点で「これは私が欲しい商品だ」「私はこれを買いたい」と思ってもらえる価値を、継続的に提供・訴求していく必要がある。

 

ブランドの商品・サービスを買い続けてくれる、いわばブランドのファンである「ロイヤル顧客」が増えると、必然的にLTVが高まる。

さらに、ロイヤル顧客が求めるUAVは、同様に「高いLTVを見込める新規顧客」を獲得するためのUAVにもなりえるので、「潜在的なロイヤル顧客」の獲得に効果を発揮します。また、LTVが高いロイヤル顧客の獲得効率が上がることは、マーケティングの投資対効果の向上にもつながる。

潜在的なロイヤル顧客にイベント招待のターゲティングアプローチ

UAVのアプローチは、やみくもに新規顧客数を増やすことで売り上げを伸ばそうという一般的なマーケティングとは一線を画すものである。

自社の顧客とUAVに関する共通理解が浸透すれば、商品開発部門から販促部門まで一貫して、UAVを前提とした取り組みが行われるようになる。

UAV開発の3ステップ

ステップ1:普段自分たちが当たり前にやっていること、つまり習慣的な行いに目を向け、自社の強みを見定める。

ステップ2:顧客のインサイトを見定める。定性調査は、目的や目標の達成に向けて貢献度の高い「理想的な顧客」を対象に行う。理想的ではない顧客に意見を聞いても、表層的なコメントで振り回される結果となる。

ステップ3:定量調査で売り上げ最大化の角度が最も高いUAVを特定する。

 

UAVの効果を最大化するポイント

「戦略」は「実行」が伴って初めて成果が出る。戦略策定の担当者が実行の担当者に戦略の狙いを正しく伝え、実施される施策が戦略と合致しているかを判断する。その判断は、戦略策定の前提となる顧客理解に基づいて行う。

チェックリスト

1)Attractive: 顧客視点で競合商品よりも魅力のある商品か?

2)Available: 顧客が入手しやすい販路が十分にあるか?

3)Affordable: 顧客視点で価値が価格を上回っているか?

4)Aware: 顧客その商品の価値を十分に理解、認識できる広告宣伝か?

 

新規顧客が獲得できない場合は「広告・販促」に、リピート購入が促されない場合は「商品・カウンセリング」に改善の余地があると考え対処していく。

 

マクロWHO/WHATとマイクロWHO/WHAT

マクロWHO/WHAT = マスマーケティング = マクロWHOをUAVとして施策を展開する。

マイクロWHO/WHAT = デジタルマーケティング = 上記を土台により細分化したアプローチを行う。

「誰に、どんな価値を届けるブランドなのか」といったブランドの輪郭をぼやかすことなく、マクロWHOのコンバージョンを高めるために、個別最適化したWHAT(UAVを土台に、その顧客のインサイトに合わせたメッセージに調整したもの)の発信を行い、自分ごと化を強化する。

多様なケースを100本ノックするとノウハウは急速にたまる

大きなブランドやロングセラーブランドであればあるほど、マクロWHO/WHATだけではなく、マイクロWHO/WHATの設計が求められる。なぜなら、すでに想定しうる顧客の大部分にリーチし、ブランド認知の獲得ができているから。複数のマイクロWHO/WHATに深くアプローチしなければ、売り上げの伸びしろは期待できない。

特定したマイクロWHO/WHATに対してプロモーションを行っていくことで、メガブランドを段階的に成長させていくことが可能になる。

マイクロWHO : 購入店舗、属性などのセグメントと彼女たちのインサイト

マイクロWHAT : 彼女たちそれぞれに響く価値

マイクロWHO/WHATはマーケティングチームが設定し、セールスチームが得意先と連携して100本ノック、A/Bテストを繰り返しながら効果を高めていくことで、メガブランドを段階的に成長させていくことが可能になる。

今の時代、デジタルマーケティングを有効活用しないという選択肢はない。マクロWHO/WHATを基に、マイクロWHO/WHATによるターゲティングとクリエイティブ開発を行うことで、マスマーケティングとデジタルマーケティング両面から一貫したブランド認識の構築と強化が可能になる。