無料で読めるAmazon prime readingの小説の中でも評価が高く、七十代の方が「いくつで読んでも胸に響く」とコメントされていたのが印象的でした。
不運を嘆くばかりの四十路の営業マンが、不思議なタクシーとの出会いから変わっていくファンタジーです。
胸に刺さったのは、自分の機嫌は自分でとれる人間であれ、というメッセージ。
すごく不機嫌にしていた時にこの物語を読んで、セリフがすとんと腹落ちしていきました。ストーリーの力はすごい。
すこし上を向いて、視界を広げることができ、感謝しています。
運が劇的に変わる時、そんな場、というのが人生にはあるんですよ。それを捕まえられるアンテナがすべての人にあると思ってください。そのアンテナの感度は、上機嫌の時に最大になるんです。逆に機嫌が悪いと、アンテナは働かない。最高の運気がやってきているのに、機嫌が悪いだけでアンテナが全く働かないから、すべての運が逃げていっちゃうんです
いや、実際幸せなのかどうかはわからない。ただ、あの運転手が言うように、「上機嫌」であるのは確かだ。少なくともこの男は自分の機嫌は自分でとれる人間であるのは間違いない。修一は思わず鳥肌が立った
上機嫌でいるということは、楽しいことを期待するのではなく、起こることを楽しむと決めるということなのかもな
また、努力の見返りをどんな「時間軸」で捉えるのがいいのか、この点も考えさせられました。本当にいくつで読んでも味のある小説だと思います。
とにかく頑張っても報われないときは運が貯まっているんですよ。努力をしてすぐ結果が出たり、何かいいことが起こったりする人は、貯めた運を小出しに使っているだけで、他の人より取り立てて運がいいわけではないですよ。同じだけの努力をしたのに結果が出なかった人は、その分、運をためたんです。あとでもっちいことが起こります
人間の一生が、自分だけの物語の完結だと思って生きるのであれば、生まれたときに与えられた条件を使って、できるだけ自分の欲望を満たした方がいい人生だということになってしまうが、実際には人間の一生は、延々と続く命の物語のほんの一部でしかない
受け継いでいくのは命だけではない。あなたは、自分じゃない誰かが作った社会に生まれ育ってきた
いい時代に生まれたなあ、と思えるとしたら、それは運がよかったと思うかもしれないが、どっかからふっと湧いて出たわけではない
たくさんの血と汗と涙、そして努力、極論、命が費やされて作られてきたもの。<あった>ものではなく、命と引き換えに<作られた>もの
僕たちの人生は延々と続く物語の一部分
その物語の中にあなたが登場したとき、つまりあなたが生まれたとき、すでにそれまで続いてきた物語によって作られてきた恩恵がたくさんあった
そこにあなたが生まれ、そしてほんの百年ばかり生きて死んでいく。そのとき、あなたがその物語に登場したときよりも、少しでもたくさんの恩恵を残してこの物語を去る。つまり、あなたが生きたことで、少しプラスになる。それこそが真のプラス思考だ
まず誰かと比べるのをやめるといいですよ。他の人の人生と比較するのをやめて、自分の人生に集中して。他の人はその人の人生を生きて、その人の役割を果たしています。だから多くを持っているように見えても、上手くいっているように見えても関係ないじゃないですか。それよりあなたの人生をしっかり見つめてください。そうすれば、自分がどれだけ恵まれているかわかります。まずは、自分が恵まれているということに心から気づけること。そこから始まります。そこに心から気づければ、自分ほど恵まれている人はいなんじゃないかって思えるようになっていきます