花も実もある楽しい読書

人生とテニスに役立つ本

地理・歴史

試行錯誤の軌跡:人類の歴史を探る(6)2千5百年前ー鉄器の普及と社会の振れ幅の拡大

古代グローバル文明とも言える青銅器文明崩壊後、人類が迎えた新たな岐路は鉄器の普及であった。このイノベーションは、社会の振れ幅をさらに大きくしていく。 2千5百年前ー鉄器の普及 トマ・ピケティは『21世紀の資本』で、超長期での経済成長の速度感を…

試行錯誤の軌跡:人類の歴史を探る(5)4千年前ー古代グローバル文明の形成と崩壊。次代への試行錯誤

各地に領域国家を成立させ、それぞれに必要な社会のあり方を選択し始めた人類は、古代グローバル文明を形成し、そして崩壊させた。これもまた、次代への試行錯誤の過程である。 4千年前ー古代グローバル文明の形成と崩壊 紀元前3千年紀の青銅器時代に、エ…

試行錯誤の軌跡:人類の歴史を探る(4)4千年前ー領域国家の成立。それぞれの社会に必要なあり方の選択

情報を記録するために、数千年の試行錯誤を通じて文字体系を確立した人類は、各地に領域国家を成立させ、それぞれの社会に必要なあり方を選択して行く。 4千年前ー領域国家の成立 紀元前3千年紀、メソポタミアからエジプトに多くの領域国家が誕生した。マッ…

試行錯誤の軌跡:人類の歴史を探る(3)5千年前ー情報の記録。数千年の試行錯誤で完成した唯一の文字体系

温暖化した地球上で定住を拡大し、社会的な試行錯誤の幅を広げた人類が迎えた次の岐路は、情報の記録を可能する、文字体系を確立したことだった。 5千年前ー情報の記録 人類は数万年前から、動物の骨に刻み目をつけたり、洞窟に絵文字を描いたりして、もの…

試行錯誤の軌跡:人類の歴史を探る(2)1万2千年前ー定住の拡大。社会的な試行錯誤の進展。

認知能力が発展して言語を身につけ、仮説検証という独自の行動を始めた人類が迎えた次の岐路は、定住の拡大であった。 1万2千年前ー定住の拡大。 最終氷期が終わりを迎えて完新世という気候が温暖な時代に突入し、より容易となった狩猟採集とともに初期の…

試行錯誤の軌跡:人類の歴史を探る(1)7万年前ー認知能力の発展。仮説検証する人類の始まり。

人類が他のホモ属と一線を画すようになった最初の決定的な岐路。それは7万年前ごろ、認知能力の発展によって仮説検証という人類のならではの行動が始まったことだ。 7万年前ー認知能力の発展 ホモ・サピエンスの社会はなぜこれほど発展したのか。きっかけは…

試行錯誤の軌跡:人類の歴史を探る(0)全人類の通史を深く学び始めたきっかけ

高校で世界史を好きになってから30年以上が経つ。学校で使った世界史年表は社会人になってからもしばらく持っていたのを覚えている。見開きに収まる情報量には限りがあるので、当然のごとく時代ごと、地域ごとに区切られていた。歴史は時代を越えて続いてい…

『B.C. 1177 古代グローバル文明の崩壊』紀元前1177年 地中海文明の転換点

紀元前3千年紀の青銅器時代に、エジプト、ヒッタイト、ミケーネ、アッシリア、バビロニアなどの古代国家は地中海世界にグローバル文明ともいえる国際交易体制を築いた。それぞれの王国、帝国は地域の覇権を巡って争い、陰謀をめぐらしつつ、同盟や縁戚関係…

『文字の歴史』長い時間をかけて社会的な必要性から人類が選び抜いた作品

完全な文字とはなにか。次に挙げる3つの基準を満たすものである。 意思の伝達を目的としている。 紙など(あるいは PC モニターなど電子機器)の表面に書かれた、人工的な書記記号の集合体である。 意味を持つ音声、話しことばを系統だてて整理し、それに対…

人類史の新たな古典:『万物の黎明』の衝撃

人類学者のデヴィッド・グレーバー、考古学者のデヴィッド・ウェングロウの共著。「人類史を根本からくつがえす」という副題通りの書評を、作家のケン・フォレットが寄せている。「本書は、人類の歴史についてこれまで信じてきたことを全て爆破させる爆弾だ…

『言語の本質』を読んでホモ・サピエンスの認知革命の原因を理解する

これはすごい本だ。世界的ベストセラーが置き去りにした疑問に答えをくれる。 『サピエンス全史』でユヴァル・ノア・ハラリ氏が提唱した認知革命。革命的に脳の突然変異が起きたかは別として、約7万年前から4万年前に、ホモ・サピエンスに認知的な革新が起…

制度が築く経済:大国の興亡と成長の三つの柱

古代ローマがその絶頂期から衰退へと転じた瞬間とはいつで、何があったか?そんな瞬間があるとすれば、私たちは歴史的な大事件を思い浮かべる。蛮族の襲来によるローマ陥落のような。しかし著者らは、そのような大事件は衰退の結果でしかなく、原因は別だと…

違う場所、同じ挑戦:『ローマ人の物語』ユリウス・カエサルと『キングダム』嬴政が挑んだ歴史的統一と大変革の痛み

こんにちは、皆さん。今回は、『ローマ人の物語 ユリウス・カエサル編』と『キングダム』を読んで感じた共通点、カエサルと嬴政の下での大統一と政治体制の変革に焦点を当てて書いていきたいと思います。 大統一への挑戦 政治体制の変革と法の力 暗殺と後継…

大人も目から鱗が落ちる『13歳からの地政学』

子供向けのようなタイトルだけれど読み応えあり。子供でもわかる例を用いて、知ってるけれど、分かってないことを腹落ちさせてくれました。本書からそんな4つのエピソードをご紹介します。 驚くべき事実:日本は実は世界第4位の体積!深海の秘密とその利点 …

『マンガでわかる地政学』アメリカとロシア、イギリスとウクライナの関係

地政学ブームの背景 地政学は国際関係を理解する鍵となる概念です。特にロシアによるウクライナ侵攻が起きてからは、エネルギーや食料価格の高騰、台湾事変の可能性とリスクなど、多くの日本人がこの領域に興味を持ち始め、本屋でもちょっとしたブームになっ…

エマニュエル・トッドの『第三次世界大戦はもう始まっている』で理解が深まるウクライナ侵攻3つの背景

リアル本屋にはいい本との出会いがある。 ロシアのウクライナ侵攻をエマニュエル・トッドはどう捉えたか。読んでみると、それまで考えたことのなかった様々な問いが浮かんできました。 ウクライナ侵攻はなぜ起きた? ウクライナは3つの違う地域だった? 各…

『源頼朝の世界』鎌倉殿と歴史好きには絶対楽しい歴史エッセイ集

2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。北条義時に興味を持って、義時と源頼朝のWikipediaを熟読するまで、本書の著者、永井路子さんは存じあげませんでした。 1979年出版の本書は今回の大河放映を機に復刊したようですが、今読んでもフレッシュで、鎌倉時代を…

『未来の年表』『未来の年表2』はこれから日本に起きる課題リスト。需要と供給のマッチングが解決策

著者でジャーナリストの河合雅司氏が書かれている通り、向こう50年の人口動態は大きくぶれることはありえません。2021年に50歳の人は約190万人。50年前は第二次ベビーブームで出生数は約200万人でした。2071年の50歳は絶対に81万人より少ないです。なぜなら2…

『新九郎、奔る!』俺の主は俺だ!真面目な青年の成長と応仁の乱の舞台裏を丁寧に描く歴史漫画。

北条早雲こと伊勢新九郎盛時が主役の、ゆうきまさみ最新作。応仁の乱前夜、新九郎11歳から物語は進みますが、1巻冒頭は、新九郎38歳が起こしたある事件の場面から。 室町殿奉公衆、伊勢新九郎盛時!主命により足利茶々丸様の御首頂戴に参上仕った! 主命かあ…

『<インターネット>の次に来るもの』これからの未来の12の潮流を知り、対処しよう

著者のケヴィン・ケリーは、老舗テックメディアWIERD誌の元編集長で、テクノロジー界の哲学者のような人。 インターネットはどう社会を変え、世界をどこへ向かわせ、良くするのか否か。デジタル社会の行く末を12の動詞で示唆し、ものごとのDXを深く考える…

『日本史サイエンス』神風や天才だけが理由じゃない。文系x理系的アプローチで「歴史の謎」を解明する。

日本史、世界史の「歴史の謎」。真実を知るにはタイムマシンが必要? 史料を最大限活かした合理的な条件設定と、基礎的な物理の法則に基づく証明。2つを組み合わせることで生まれた説得力のある仮説を、大いに楽しみました。 著者の播田安弘氏は船舶設計の…

『2060 未来創造の白地図』未来に希望を抱かせる秀逸なテクノロジーカタログ

未来を読み解く本として人気の『ホモ・デウス』では、データテクノロジーや遺伝子工学の発展が、後戻りのきかない格差や暴走をもたらすリスクが描かれました。本書で川口伸明氏はこう語ります。 ヒトは、神人になるのではなく、飽くなき冒険の旅を続ける存在…

『ホモ・デウス』歴史を通じて人類を発展させてきた方程式を考える

『サピエンス全史』でハラリ氏は、人類の歴史を振り返り、認知革命、農業革命、科学革命が、が人類を発展させてきたことを教えてくれました。第二弾の本書では、認知、農業、科学という新しい力を活用するために欠かせなかった「虚構」という要素を深堀して…

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』歴史を正しく学び、正しく使う。本書を読んで考えたこと。

日清戦争から太平洋戦争まで、日本人はなぜ戦争を選んだのか。本書は東大文学部教授で歴史学者の加藤陽子氏による、栄光学園歴史クラブの中高生との5日間にわたる対話式授業のまとめです。 日清、日露、第一次大戦、日中戦争、そして太平洋戦争。日本はなぜ…

『2100年の科学ライフ』一流の科学者が300人の各界トップと作り上げた未来予測の本

著者のミチオ・カクさんは日系3世のニューヨーク市立大学理論物理学教授。アメリカで有名な未来学者でもあります。 専門家が自分の意見をまとめた未来予測本や、各分野の専門家へのヒアリングによる本は色々あります。しかし、現役バリバリの科学者が、300…

『哲学と宗教全史』哲学史・宗教史の流れと特徴がよくわかる

世界はどうしてできたのか、世界は何でできているのか?人間はどこから来てどこへ行くのか?何のために生きるのか? 我々の脳が現在の形まで進化した1万年前から、人間は考え続けてきました。自然科学や遺伝子、脳科学的に、一定の答えは出つつあるのかもし…

『周 理想化された古代王朝』歴史もニュースも一次情報にあたることが大事

キングダムでブームの戦国時代の少し前の時代。中国古代史研究者の佐藤信弥さんが、中国各地で出土した青銅器に刻まれた記録である「金文」を基にまとめた周代史です。専門的ですが「歴史的な事実と歴史認識」の差というものがわかりやすく理解でき、現代の…

『サピエンス全史』人類史三部作。人類の歴史を整理し深く理解するところから始める。

歴史を正しく学ぶことは、将来を正しく選択することに役立つ。ユヴァル・ノア・ハラリ氏による人類史三部作、『サピエンス全史』で人類史を整理、深く理解し、『ホモ・デウス』で人類の将来に仮説を立て、『21 Lessons』でそれらの知見を踏まえて現代が直面…

『信長の原理』武将と企業人の共通点を感じる小説

垣根涼介さんの歴史小説。織田信長は、既存の枠組みに捉われずに戦争、商業、組織構築を刷新し、人材の効率的活用に尋常ではないレベルでこだわった故に成功したと描かれています。 戦国という社会が停滞しつつも勢力が均衡している時代に、他を圧倒する新し…

『ローマ人の物語』塩野七生さんによる最高の歴史エッセイシリーズ

ローマ人の胸の内を、定説とされる史実を超え、著者の解釈を踏まえて描かれる本シリーズ。塩野七生さんは、それゆえ本書は歴史書ではなく「歴史エッセイ」だと言います。 正当とされる歴史書でも、著者が生きる社会背景や本人の信条が必ず反映されるもの。近…