花も実もある楽しい読書

人生とテニスに役立つ本

『そして、バトンは渡された』暖かい気持ちになる素敵な小説

母親が二人、父親が三人。親の死別や離婚が繰り返され、高校生の今は二十歳しか離れていない"父"と暮らす優子。悲しいこと、切ないことはたくさんあった。でも、周りからよく同情されるけれど「困った。全然不幸ではないのだ。」と思える彼女。

彼女との出会いを大切に思い、愛情をいっぱい注ぐ大人たちと、当然悩むこともあれども、しなやかに生きる優子。

優しい人たちの織りなすストーリーはとても暖かく、出張帰りの新幹線で大泣きしてしまいました。

物語に食卓の場面がよく登場します。

カレーは辛いのに、玉ねぎもにんじんも甘くておいしい。きっとしっかり炒めたからだ。塞いでいるときも元気なときも、ごはんを作ってくれる人がいる。それは、どんな献立よりも力を与えてくれることかもしれない。

娘たちが生まれてきてくれたことへの感謝と、共に食卓を囲む時間の貴重さを思い出させてくれました。

本の中で父が娘に作る、ドライカレーと餃子は今週末に作ったので、来週はゼリーを作ります。

そして、バトンは渡された (文春文庫)

そして、バトンは渡された (文春文庫)