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人生とテニスに役立つ本

一気読みをオススメするSFバディ小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

著者アンディ・ウィアーの前々作、2015年の映画「オデッセイ」でマット・デイモンが演じる主人公は火星に一人取り残されましたが、今回は一体何が?

天文学や恒星科学、物理や化学に関する科学的描写を極力正確なものに、という著者の努力の賜物で、フィクションの風呂敷はでかいですがリアリティありです。ストーリーは壮大、一方で主人公の視点を大事にしていて、読みやすいし共感できでます。

ハラハラするトラブルを主人公の創意工夫で乗り越えるくだりや、ちょっと仕掛けのあるプロットは推理小説のような面白さもあり。そして読み終えると、最高の「バディ小説」だったなと。一気読みできるお休みにオススメの小説です。

こういう上質なサイエンス・フィクションは、物理や化学の素養がある人にはさらに面白いんだろうなと思いました。ました。完全なフィクションと、あり得る仮説の境目をツッコミながら読んだら楽しそう。田中芳樹の「銀英伝」や上橋菜穂子の「守り人」を、実際の歴史や社会と重ねて読むとまた興味深いように。