家族なのに、傷つけあう。家族だけど、わからない。夫婦や親子でけんかをしたり、不安にさせたり心配をしたり。誰しもあると思います。
気持ちがささくれだったとき、森浩美さんの家族短編集を読むと、気持ちがほわっとします。家族の大事さを思い出させてくれて、いい切り替えができます。
既刊の5冊にはそんな物語がつまっています。主人公は夫や妻、父や娘など、30代から50代の男女。彼らの物語は、何かしらの苦しさや悩みを抱えて始まりますが、最後には希望の光が見えたり、気持ちを切り替えるスイッチを見つけたり。それで万事解決、という訳でもないでしょうが、主人公同様、人生は続くわけで、ちょっとした光とか、気持ちの切り替えができるだけで、すごく救われますよね。前向きに考えられるようになる、すべての家族を持つ人にとっての、心のお薬のような短編集です。
それぞれのストーリーに共感できるポイントがあると思います。自分がその時感じている悩みはちっぽけだなー、と思わせられたり、たまたま今の自分と子供たちに世代がどんぴしゃではまるストーリーを読んで、あるあるだなー、と思わせられたり。来年、十年後、読み返せばまた違うストーリーに心惹かれたり、子供目線で読んだストーリーを親目線で共感したり、といったこともあるのでしょうね。