花も実もある楽しい読書

人生とテニスに役立つ本

The Art of Doubles: 上級を目指すアマチュアダブルスプレーヤーに

ChatGPTが世界一わかりやすいダブルス戦術本と紹介する『The Art of Doubles』。

基本的なショットは打てる前提。具体的かつ戦略的に、ポジションの取り方、ショットの使いどきなど、状況ごとの判断を深め、定着させることに焦点を当てている。

洋書で邦訳本がないのでポイントを。

バランスのいいダブルスチームを作る

  • 優れたダブルスチームは8割方サーブをセンターに打つ。両方右利きのペアなら、バックハンドが得意な方をデュースサイドに、フォアが得意な方をアドサイドに置こう。体の正面のボレーはバックで打つべきなので、ボレーが得意な人がデュースサイドでもよい。
  • 先にサーブを打つプレーヤーは、5−4、4−5という試合の局面でサーブを打つことになるので、メンタルが強いプレーヤーに先にサーブさせたい。

チームの意思疎通をオープンに保つ

  • 貴重なポイント間は「解説」ではなく勝利に必要な「解決策」を話そう。
  • どちらが打つか迷う時は必ず「取るよ!」「お願い!」と声をかけよう。
  • 後衛=クロスコートプレーヤーがキャプテン。ロブを追いながら「ステイ」「チェンジ」「下がって」と指示を。

適切なコートポジションを学ぶ

攻撃的なコートポジション

  • 攻撃的なコートポジションの獲得が、あらゆるポイントの第一目標。守備的なコートポジションは相手に強いられたものと知るべし。
  • 「ずらしフォーメーション」が基本。後ろ寄りがクロスコートプレーヤー、前寄りがターミネーター。
  • まずはサーバーとレシーバーがクロスコートプレーヤー。彼らの仕事はポイントを取ることではなく、ボールをクロスコートに維持し、ターミネーターに決めさせること。
  • クロスコートプレーヤーはターミネーターから2.5m離れる。クロスコートプレーヤーの仕事はセットアップか、ロブを追う。ターミネーターの仕事は、浅いロブならスマッシュを打つ、甘い球ならボレーで決める。役割は決して重ならない。
  • クロスコートプレーヤーは、常にセンターネットストラップを活用して、相手側のクロスコートプレーヤーと対角にポジショニングする。
  • クロスコートプレーヤーがネットストラップで仕事をしている間、ターミネーターはミラーで仕事をする。
  • 味方のクロスコートプレーヤーが相手に返球したら、鏡のようにネットをはさんで正面をふさぐ。鏡の端が湾曲しているように、相手のクロスコートプレーヤーがアレーに追いやられたら、アレーまでは行かずにとどまる。
  • クロスコートプレーヤーがチャンスでネットに詰める際は、必ずストレートに決めに行く。クロスに決めに行った球をキャッチされたら、味方のターミネーターは反応する時間がない。

守備的なコートポジション

  • 相手のロブで抜かれたら、適切なコートポジションは二人とも下がること。決してターミネーターをネット前に取り残さない。格好の的になる。
  • ロブを拾ったクロスコートプレーヤーは、出来るだけ高いロブで返球する。味方のターミネーターが下がる時間を稼ぐためにも。
  • 自分の対角の相手がスマッシュを構えたら、ベースラインより深く下がり、ネットストラップを使って構える。自分の対面の相手がスマッシュを構えたら、ミラーを使い、ベースラインより一歩踏み込んで構える。
  • 再度攻撃的なコートポジションを取り返すためには、ロブで抜くことのみ。それまで高いロブを打ち続ける。
  • 理想的なロブの打ち方は、できるだけ高く上げること。そして触らせること。高いロブは打ちにくい。抜こうとしたロブはアウトする。

賢いショット選択で勝つ

  • ポイント獲得率の高いサーブは、MAXから4分の3のスピードでいいのでセンターの深めに入れること。ワイドサーブは角度をつけて返しやすい。
  • レシーバーで大事なポイントが来たら、ストレートで早く楽になろうと思わず、ショートクロスを狙おう。
  • ただし思ったより良いサーブが来たら、緊急事態だと思ってすぐにプランを変更し、前衛の後ろを狙ってストレートロブを打とう。
  • ストレートロブを打ったら、ネットにど詰めする。パートナーがサービスラインの後ろあたりでクロスコートプレーヤーになる。
  • デュースコートのプレーヤーは、ストレートロブリターンを攻撃として使うべし。必ずそれを追いかけてネットにど詰めし、アドコートのパートナーがスマッシュを狙えるようにする。
  • 深くから深く、浅くから浅く。この原則は迷いを払拭する。深くから深くに決め打ちすればミスを防げるし、浅くから浅くに打っていれば決まりやすい。
  • ファーストボレーのコースに選択肢は2つのみ。クロスコートプレーヤーのアレー側の足元か、サービスボックスのTの字かだ。どちらに打つべきかは、インサイドボールか、アウトサイドボールかで決まる。
  • デュースコートのファーストボレーでフォア側に来た。これがアウトサイドボール。打つコースは基本、クロスコートプレーヤーの足元に深くから深く、できればアレー寄りに。深くから浅く、相手前衛に打ったら味方が殺られる。
  • アドコート側の前衛はショートコートポジション。低いボールが来たら、来た方向に短く返せばいい。浅くから深く、安全策。浮いたボールが来たら、相手の前衛に向かって、浅くから浅く仕留める。相手には反応する時間がない。
  • デュースコートからファーストボレーをバックハンドで打つ際はインサイドボール。この時は、センターに打っても構わない。
  • ファーストボレーに成功して攻撃的なポジションをとれたら的が増える。相手が雁行陣なら、アングルを狙うか、相手前衛を超すショートロブだ。相手の動きが悪いが手元の処理がうまい場合は、センターだ。
  • チャンスボールを見極めるために、相手のラケット面を見ておくだけでなく、耳を澄ませ、ミスヒットの音にも注意を払う。おいしい機会を見つけたら、素早くボールに詰め、ターミネーターとして鋭くアングルに決める。
  • 自分たちがレシーバーで0-40となったら、大胆な攻撃を仕掛けるチャンスだ。
  • うまくいってないときに、ハイリスクな球を打つのは壊滅的だ。
  • 実のところ、ハーフボレーはダブルスで最も大切なショットの一つである。
  • レシーバーにとって一番楽なのは一歩も動かなくていいサーブだ。サーブにはスライスかトップスピンか、いずれにしろしっかり回転をかける。
  • サービスブロックの内側から、どちらのアレーにも狙えるスマッシュを身に着けることは非常に重要。
  • 右利きなら、デュースコートではスライスサーブのようにスマッシュを打つ、アドコートであればスピンサーブを思い浮かべながら打つといい。
  • 完璧なドロップショットを打つには、ボレーにストロークの要素を持ち込む。しっかりとスライス回転をかけ、ボールの起動の頂点が自分たち側のコートに来るようにする。

優れたポーチスキルを身につける

  • パートナーのサーブの音が聞こえたらネットに真っ直ぐに詰め、ボールがインサイド、アウトサイド、どちらに入るかを見極める。
  • ボールがアウトサイドに入ったら、ポーチは忘れてミラーの位置取りに専念。インサイドに入ったら、センターラインまで移動して最低でもセンターボールまではカバーする。
  • センターラインで、さらに侵入してポーチするかどうかを決める。リターンが速すぎる、低すぎる、遠すぎると思ったら戻ればいい。
  • ワイドサーブが入ったら、まずはミラーでアレーをふさぐが、リターンがふわっとした球だったら、迷わず行く!
  • デュースコートのリターンがあまりに厳しくポーチに行けないときは、ペアにワイドサーブを打ってもらう。だらっとしつつ、相手がリターンを打つ瞬間に、ポーチのそぶりだけして、全力で戻る。これを繰り返せば相手は必ずストレートを狙ってくるので、待ち構えておく。
  • ポジショニングで相手のリターンコースから2つのオプションを消す。サービスライン近くに立つことでロブの可能性を狭め、アレー寄りに立つことでストレートに打ちにくくする。そうするとポーチに行きやすいクロスコートリターンが来る可能性が高まる。
  • スマッシュが得意なら、ネットにど詰めして構え、ロブを誘う。
  • ポーチを打つ場所は、コート中央付近でボールにさわった場合はセンターのTを狙って打つ。この場合は後衛とのポジションチェンジは起きない。サービスラインを越えてさわる場合は、クロスのアレーを狙う。あくまでアレーで、相手前衛のラケットではない。

コート上での役割を理解する

  • 偉大なダブルスプレーヤーは自分の仕事だけでなくパートナーの仕事も理解して、パートナーが逆襲の心配なくポイントに入ったり役割を果たせるショットを打つ。
  • ファーストサーブを入れる。自分にできる75%ぐらいの、ちょうどいいペースのサーブを見つける。
  • サーブをセンターに入れれば、自分とパートナーは、パートナーのアレーを除く80%のスペースはカバーできることを認識する。
  • ファーストボレーは決して急がない。ワイドのサービスリターンに対しては、しっかりと低く、クロスコートに返すことを心がけ、センターへのリターンはセンターに返す。ハーフボレーを避ける必要は全くない。
  • サーバー前衛であるターミネーターの役割は、まずミラーリング。サーブがインサイド、アウトサイド、どちらに入ったかを見極めてポジションを調整。ワイドに入ればアレーを守り、センターなら中央に詰める。
  • ボールの高さによってターゲットが変わる。低めにきたら、決してコースを変えずに、浅くから深く返す。十分に浮いてきたら、浅くから浅く、ターゲットを狙おう。
  • 相手のリターンがアウトだと思ったら「アウト!」とコールしよう。サーバーには向かってくるボールの判断が難しい。
  • リターンは、基本的には味方前衛の攻撃につなげられるよう、ワイドクロスコート、低め、サービスラインより手前を狙う。
  • リターンのコースはあらかじめ考えておくが、思ったよりもいいサーブ、速い、回転がきつい、コースが鋭い場合は、ディフェンシブなロブは適切な選択肢。
  • ボールは必ず返ってくると思っておく。リターンを打ち終わったら、ネットストラップの義務が始まる。
  • リターナーの前衛は、リターンが返ったらミラーリング。相手のラケットの位置に構えておく。これはポーチの機会をつかむことにもつながる。サーバーがネットダッシュしてこなかった場合はアレーも含めてケア。
  • サーバーがネットダッシュして来た場合は、ペアのリターンが低く沈めば、リターンがどれだけワイドであっても、まさに出番。センターに詰めてポーチの準備をする。

無形の支配権を獲得する

上手い人はのんびりして見える

  • まずボールの見方が違う。向かって来るボールを見る。飛んでいくボールは見ない。ボールが自分のラケットを離れたら、見るべきは相手のラケット。ボールではない。ボールとラケットはいつか出会うのだから。
  • 早めの準備に勝るものは無いが、準備時間は常に思った以上にある。秘訣は、体重移動とラケットスイングのリズム、それらをスムーズに行うために必要となる時間を知り、その時間はあると自信を持つこと、これらを自分に叩き込むことだ。
  • 内野の失策の多くは、野手がボールを捕る前にプレーを開始したために起こる。スポーツ界では使う古された決まり文句だが「ボールを自分の手の中に見ろ」「ボールから目を離すな」。

速さ、深さ、緻密さの使い時

  1. 速さは素早く短いラケットワークで、
  2. 深さは長くゆっくりとしたラケットワークで、
  3. 緻密さはボールを優しく撫でることで実現する。
  4. 速さと深さを同時に使うとまず間違いなくアウトし、
  5. 短いが遅くラケットを使えば、ネットするか相手にチャンスボールを献上する。
  6. 長くゆっくりとしたラケットワークでベースライン際にいる相手のタイミングとスペースを奪い、
  7. 素早く短いラケットワークでショートコートポジションにいる相手から反応する時間を奪う。
  8. 基本的な狙いどころは、いつも相手のラケットではなく手前の地面だ。

相手の好きなストロークを知る

  • 忍耐強く観察すれば、すべてのプレーヤーの「お気に入り」のショットに気づく。彼が違うことをし始めるまでは、ずっとそれを使うと思っておけば良い。

相手のモーションに集中する

  • 相手がグラウンドストロークを打とうとしているなら、ラケット準備、踏み込み足、肩の向きを見る必要がある。ボレーなら、ラケットの向きだけ見ておけば、そちらに飛ぶからそれで良い。これらは難しいそうに感じるだろうが、練習すれば一目でわかる。

コート内の動きの2つのルール

  1. スプリットステップを踏む。サーブ以外では、相手のラケットがボールを叩く音に合わせて踏む。自分がサーブを打つときだけは、サーブが着弾したらスプリットステップを踏む。早めに停まって、リターンの方向を見定めてまた動く。
  2. アイススケートのように、打った方へ動く。すべてのアプローチは打ちながら前進するし、サービスリターンもファーストボレーもある種のアプローチショットだ。

勝ち負けについて話そう

  • ボレーの世界は、4分の3がバックハンド、4分の1がフォアハンドに分かれている。バックハンドボレーを鍛えよう。
  • 全サーバーは、サーブが相手コートに着地したときにスプリットステップをする必要がある。ローボレーとハーフボレーは必須な武器として練習しよう。
  • サーブにスピンは必須だ。トップスピンをかければリターナーは肩の位置で打たねばならない。スライススピンをかければリターナーは詰まらされるかペアの後ろまで振られる。