花も実もある楽しい読書

人生とテニスに役立つ本

『シン・ニホン』日本を再発明する提案書

「未来を予測するのに一番いい方法は、それを発明することだ。」パソコンの生みの親、アラン・ケイの言葉です。 待ったなしの状況にある日本を、ベストな形で再発明しよう。安宅和人さんは、本書で我々にそう呼びかけ、すこぶる合理的な提案書を示してくれま…

『ストーリーでわかる財務3表超入門』仕事にも効く、小説としても楽しい

「BS、貸借対照表」と「PL、損益計算書」。この意味するところを正しく理解せぬままにサラリーマン生活を続けてきましたが、コロナで家ごもりをしている間に、財務や数学も基礎を覚えると多くのことに役立つだろうと思い、手に取りました。 若手OLが起業を決…

『人生計画の立て方』+『私の財産告白』古き紳士から企業人の人生に効くアドバイス

著者の本多静六氏は、戦前戦後に活躍した東大農学部の先生で、日比谷公園設計、明治神宮造林、ベストセラー作家、さらには投資で大成功。そう説明すると縁遠い偉人に聞こえますが、本業のサラリーマン生活をまっとうしながら、仕事の知識、興味関心を少しス…

『ソロモンの偽証』怖くて、考えさせられて、爽快で面白い小説

久しぶりに読んだ宮部みゆきさんの作品は、中学生の娘に進められて。本当に、この人はなんてすごい物語を書くんでしょうか。初めて読んだ『模倣犯』は、夜の8時に読み始め、怖い思いをしながら朝の8時まで、夜通し読み続けたのを覚えています。この物語は…

『明るい夜に出かけて』若者の苦しさと素晴らしさがしみる小説

マジョリティでない者の生きにくさ。好きなものを大切に追うことの力。コミュニケーションが得意でない苦しさ。好きな者同士がつながるネット時代の可能性。 いつの時代にも、いまの時代だからこそ、若者たちが抱える苦しさと、若者らしい素晴らしさ。二人の…

『サイコパス』「良心」を持たない人がいる事実、「良心」が人間にある理由

サイコパス。他人がどうなろうと、その相手を思いやる「良心」はなく、論理的な思考や計算はできるが、他者への共感性、恥の意識、罪の意識がすっぽり欠落している人間。 そういう人間が約100人に1人は存在するという事実を踏まえて、サイコパスとはどの…

『妻は他人 ふたりの距離とバランス』自分の優しさの理由を問い直すと人生が少しラクになる

マンガ家、イラストレーターのさわぐちけいすけ氏が考える、人との距離感を題材にしたマンガエッセイ。人のためを思って何かをするとき、優しくするとき、人はしばしば見返りを求めている。実はそうですよね。さわぐちさんは語ります。「自分がそうしたいか…

『ストーリーとしての競争戦略』仕事のストーリー構築の骨法10か条

非常に分厚い本だが、ストーリーの重要性を説くだけあり、やわらかな語り口と興味深い事例紹介で楽しく読める。著者がまとめるジャンルを超えた原理原則、戦略ストーリーの「骨法10か条」+1。 ①エンディングから考える ②「普通の人々」の本性を直視する …

『テニス 試合(ダブルス)に勝てる96の作法』は読んで強くなれる

フォームなど打ち方の指南ではなく、テニスの戦術、組み立て方を学ぶ本。試合前に読み込んで、その後に実践すると勝率が上がりそうな気がします。96の作法のうち、気になった21を備忘録も兼ねてピックアップ。特にタブルスは、ポジショニング、ポーチ、…

『これも修行のうち』と人生の悩みを受け流せるようになる方法

毎日が、今より少し楽しく、心軽く、快適にすごせたらいいな。そう思いつつも心を煩わせている毎日を、「まあ、これも修行のうち」と気楽に受け流せるようになれたら、どんなにラクになるでしょう。そうなるための方法を「実践!」していこうというのが、こ…

『蜜蜂と遠雷』人と音楽の素晴らしさに感動する小説

浜松ピアノ国際コンクールをモチーフに描かれた、三人のピアノの天才と、彼らを取り巻く音楽を愛する人たちの物語。コンクール出場者である四人の葛藤や成長は、彼らの互いを想う優しさも相まって感動させてくれます。そして楽器に縁遠い私のような読者もワ…

『睡眠こそ最強の解決策である』睡眠関連の中で最強の本

睡眠ハウツー本は世の中に多いし、説得力のあるデータを揃えている本も複数あると思いますが、その中でもこの本はピカ一です。筆者のマシュー・ウォーカー博士は現カルフォルニア大学バークレー校の睡眠・神経イメージ研究室所長。世界をまたにかけ、睡眠、…

『県庁おもてなし課』地域活性化したくなる小説 ③

この物語はフィクションです。しかし、高知県庁におもてなし課は実在します。 という書き出しの本書。高知県出身の有川浩さんが、県庁おもてなし課から観光特使を依頼されたことをきっかけに生まれた作品。面白い小説であると同時に「地域活性化」や「企画の…

『三匹のおっさん』老若男女が爽快かつハッピーになれる小説

『還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか、とかつての悪ガキ三人組が自警団を結成。剣道の達人・キヨ、柔道の達人・シゲ、機械いじりの達人の頭脳派・ノリ。ご近所に潜む悪を三匹が斬る!その活躍はやがてキヨの孫・祐希やノリの愛娘・早苗にも影響…

『三体』壮大なスケールでリアリティのある中国発SF小説

アジア人として初めて、SF界で特に名誉あるヒューゴー賞に輝いた中国人作家、劉慈欣のSF大作。ヒューゴー賞はかつてハリーポッターシリーズも受賞しているぐらいで、ストーリー性に優れたファンタジーを重視しているのかもしれません。物語の前半は、中国の…