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高インフレ・高金利時代の到来 - 人口動態の変化と新たな投資戦略

この本で著者らは、長期に渡る低インフレと低金利の時代が終焉を迎え、人口動態の大変化が引き金となって、世界が高インフレと高金利の時代に突入していると主張します。本書からの洞察と個人の行動にどう活かすかをまとめました。

高齢化と労働力の減少がもたらす高インフレと高金利の時代

中国などの新興国が世界経済に参入し、その巨大な労働力がグローバルな労働供給を増加させたことで、過去数十年間は、賃金とインフレが抑えられてきました。しかし、これらの国々の人口が高齢化し、出生率が低下しているため、増加してきた労働供給のトレンドが逆転すると彼らは予測します。

この「人口動態の大転換」により、労働力の供給減少、経済成長の鈍化、それらに伴うインフレと金利の上昇が生じるとされます。さらにこれらは、住宅価格に悪影響を与え、経済格差を広げる可能性があると警鐘が鳴らします。

本書は2020年に発刊されましたが、2023年現在、世界はまさに高インフレ、高金利時代に突入しました。未来予測は難しいですが、人口動態は予測精度が高い領域で、中国の人口動態変化が世界経済に与える影響に着目したことは示唆に富んでいます。

ローカルな視点から見ると、先行して高齢化した日本が、デフレと低金利の社会になったことは、一見矛盾しているように感じられるかもしれません。著者らもこの疑問に直面しました。しかし彼らは、その理由をシンプルに説明します。それは、日本の国内労働力が減少し始めた時期が、中国の労働力が大量に供給され始めた時期と重なったからです。日本は地理的に近い中国の影響を受けやすかったことが伺えます。

高齢化社会を迎えつつある中国は、労働力供給の観点で今後は助けにならず、むしろグローバルで「人口動態の大転換」を加速させます。唯一の労働人口成長地域であるアフリカが、中国に変わって労働力供給源、世界の工場になるのかというと、それも難しいようです。中国のような単一経済地域ではなく、政情も不安定で、教育や治安といった課題も抱えているからです。

高齢化、労働力減少傾向は避けようもなく、高インフレ、高金利の時代がしばらく続くこともほぼ間違いがない、というのが本書の結論であり学びであります。

人口動態の大転換を踏まえた投資戦略

人口動態の大転換は個人の手に余る巨大な社会問題ですが、高齢化、労働力減少傾向、高インフレ、高金利のマクロ経済的な傾向のもとで有力な投資分野を考えることはできます。ChatGPTを使って洗い出されたの次のような分野でした。

  • ヘルスケアと介護: 高齢化にともなう医療と介護の需要増。病院、診療所、介護施設、在宅ケアサービス、医薬品、医療技術などの関連産業。
  • ロボティクスとオートメーション: 労働力不足を補うための技術が重要に。製造業、運輸、農業、介護、清掃など、様々な産業での需要が。
  • 金融サービス: 高金利の環境では、銀行や他の金融機関に利益を増やす機会が。個人と企業の金利リスク管理、資産運用のサービスも。
  • リモートワークとデジタルエンターテイメント: 高齢者などが自宅で働くことを可能にする技術、自宅で過ごす時間を充実させるサービス。
  • 環境技術: インフレ圧力が高まる一方で、各国は環境持続可能性を追求するためにクリーンエネルギーや他の環境技術への投資を強化する傾向に。

各領域でどの企業が成長性を持つか、逆にどの分野が伸び悩むかなど、自分の興味に応じてさらに深掘りして、実際にいくつかの米国株式に投資してみました。することが可能です。高品質な著作から得た知識をCahtGPTなども活用て膨らませて、自己の視点を広げていきましょう。皆さんもぜひ試してみてください。