アメリカ人著者が収監中に会得したという設定?が本当かどうかわかりませんが、驚くほどに論理的な自重トレーニング指南書です。どの辺が論理的か。まずはキャリステクニクスと呼ばれる本メソッドの6つのメリット。
- 器具がほぼ要りません。要るのは公園の鉄棒等、ぶら下がる場所ぐらい。ジム等場所に縛られないので、休暇中、出張中、職場等、いつでもどこでもトレーニングできます。
- 日常生活や運動で必要とする、自分の体をコントロールし動かす能力を身につけられます。バーベルを挙げる筋肉が欲しい人は、バーベルを挙げて鍛えましょう。
- 「筋力」を最大化します。筋肉だけではなく。ここが大事で、腱、関節、神経系を統合されたものとして動かし鍛えることで、大きなパワーを手にすることができます。
- 関節を保護し、より強いものにします。筋肉だけを鍛えると関節や腱を痛めがち。自重を使い、順を追って鍛えることで適切に強化されていきます。
- しっかりした筋肉を骨格に合わせて発達させ、体を理想的、最短ルートで鍛えます。筋肉拡大に特化したボディではなく、自然で健康的で美しいプロポーションになります。
- 体脂肪レベルを正常化します。太ってもバーベルは持ち上げられますが、片手懸垂はできません。動作とは、自分の体を動かす作業、という当たり前を意識できます。
本書ではビッグ6と呼ばれる基本的な6つのトレーニングを、10ステップ×3段階の負荷、すなわち30段階に分けて、でひとつずつステップアップしていきます。この設計も、トレーニングを継続して成果を出す上で非常に合理的です。
まず、筋トレを挫折する原因になりやすい、関節を痛める事故を避けやすいこと。腱や関節は筋肉よりも遅れて強化されるらしく、まだいける、と思っていても、実は適切な加減をしないと無理をして痛めてしまいます。
各ステップの最初は負荷が軽すぎる気もしますが、腱と関節の怪我を避けるためには理にかなっているようで、実際に痛めること無く、進めることができています。
もう一つはステップが進むことで成果を感じられること。淡々と腹筋を繰り返しても急に見た目が変わる訳もなく、だんだん飽きてしまいますよね。人間にはレベルアップやコレクションを楽しむ習性があるようで、細かく刻まれているステップをアップしていくことが継続のモチベーションにもなります。
私はエクセルで簡単なチャートを作り、スマホ上で目に見える形で進捗管理ができるようにしています。チャートをダウンロードできるようにしましたので、良かったらご活用ください。(ダウンロードはこちら)
ビッグ6と呼ばれるトレーニングは6つの動作。
- プッシュアップ(腕立て伏せ系)
- スクワット(スクワット系)
- プルアップ(懸垂系)
- レッグレイズ(腿上げ系)
- ブリッジ(ブリッジ系)
- ハンドスタンド・プッシュアップ(逆立ち系)
初心者は、最初のステップを最小負荷から始めるように設計されているので、筋トレに無縁の人でも取り組めます。次のステップに進む用意ができているかどうかは、それぞれのステップにおける3段階目、「上級者の標準」と呼ばれる負荷、セット数をこなせるようになったかどうかで、自ら判断できます。
注意したいのは、次のステップに早く進みたいからといって、反動をつけたりして、こなすことだけを目的にしないこと。各ステップの説明を愚直に実践することで、筋肉、関節、腱が鍛えられていきます。例えば反動をつけて腿上げが出来たつもりになっても、次の次のステップあたりで、どうにも前に進めなくなります。本書の教えを信じて、急がば回れ、です。
効果的にトレーニングを進めるためのレベル別週間メニューも紹介されており、最初はブリッジや逆立ちは難しいので、他の4つの動作を鍛えることから推奨されています。ぜひ一度お試しあれ!
プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ
- 作者: ポール・ウェイド,山田雅久
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
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