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『プリズナー・トレーニング』家で継続できる筋トレ、キャリステクニクスを学ぶ

アメリカ人著者が収監中に会得したという設定が本当かどうかはわからないが、驚くほどに論理的な自重トレーニング指南書だと思う。どの辺が論理的か。まずはキャリステクニクスと呼ばれるメソッドの6つのメリット。

  1. 器具がほぼ不要。要るのは公園の鉄棒等、ぶら下がる場所ぐらい。ジム等に縛られないので、休暇中、出張中、職場等、いつでもどこでもトレーニングできる。
  2. 日常生活や運動で必要とする、自分の体をコントロールして動かす能力を身につけられる。バーベル挙げで鍛えた筋肉は、バーベル挙げのために最適化される。
  3. 「筋肉」ではなく「筋力」を高める。腱、関節、神経系を統合されたものとして動かし鍛える。エンジンだけでなくギアも強化してこそハイパワーが出せる。
  4. 関節を保護し、より強いものにする。筋肉だけを鍛えると関節や腱を痛めがち。自重を使い、順を追って鍛えることで安全に強化されていく。
  5. 筋肉を骨格に合わせて発達させ、体を理想的、最短ルートで鍛える。筋肉拡大に特化したボディではなく、自然で健康的で美しいプロポーションになる。
  6. 体脂肪レベルを正常化する。太ってもバーベルは持ち上げられるが、片手懸垂はできない。動作とは、自分の体を動かす作業、という当たり前を意識できる。

本書ではビッグ6と呼ばれる6つの基本トレーニングを、10ステップ×3段階の負荷、すなわち30段階に分け、ひとつずつステップアップしていく。この設計も、継続して成果を出す上で非常に合理的だ。

まず、筋トレを挫折する原因になりやすい、関節を痛める事故を避けやすいこと。腱や関節は筋肉よりも遅れて強化されるらしく、まだいける、と思っていても、実は適切な加減をしないと無理をして痛めてしまう。

各ステップの最初は負荷が軽すぎる気もするが、腱と関節の怪我を避けるためには理にかなっているようで、実際に痛めること無く、進めることができている。

もう一つはステップが進むことで成果を感じられること。淡々と腹筋を繰り返しても急に見た目が変わる訳もなく、だんだん飽きてしまうもの。人間にはレベルアップやコレクションを楽しむ習性があるようで、細かく刻まれているステップをアップしていくことが継続のモチベーションにもなる。

私はエクセルで簡単なチャートを作り、スマホ上で目に見える形で進捗管理ができるようにしている。チャートをダウンロードできるようにしましたので、良かったらご活用を。(ダウンロードはこちら

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ビッグ6と呼ばれるトレーニングは6つの動作。

  1. プッシュアップ(腕立て伏せ系)
  2. スクワット(スクワット系)
  3. プルアップ(懸垂系)
  4. レッグレイズ(腿上げ系)
  5. ブリッジ(ブリッジ系)
  6. ハンドスタンド・プッシュアップ(逆立ち系)

初心者は、最初のステップを最小負荷から始めるように設計されているので、筋トレに無縁の人でも取り組める。次のステップに進む用意ができているかどうかは、それぞれのステップにおける3段階目、「上級者の標準」と呼ばれる負荷、セット数をこなせるようになったかどうかで、自ら判断できる。

ただし、次のステップに早く進みたいからといって、反動をつけたりして、こなすことだけを目的にしないこと。各ステップの説明を愚直に実践することで、筋肉、関節、腱が鍛えられていく。例えば反動をつけることで腿上げが出来たとしても、次の次のステップあたりで、どうにも前に進めなくなる。本書の教えを信じて、急がば回れ、だ。

効果的にトレーニングを進めるためのレベル別週間メニューも紹介されており、最初はブリッジや逆立ちは難しいので、他の4つの動作を鍛えることから推奨されている。ぜひ一度お試しあれ!

プリズナートレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ

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