花も実もある楽しい読書

人生とテニスに役立つ本

『ぼくは、世界一楽しいサラリーマン』こういう企業人でありたい

「毎朝、出社が楽しみでベッドから飛び起きる本」表紙扉のこの言葉通りになれば、人生はきっと楽しい。

  会社での仕事に閉塞感を感じている人に、今の会社の中でも、もっと楽しく仕事をする方法はあると気付かせてくれる89のコトバ。読んで勉強する「自己啓発本」ではありません。コピーライターでもある石渡晃一さんによる、サラリーマンに送る応援歌、気付きを与えてくれる詩集、みたいな。人生に悩む若者に「刺さる歌」があるように、キャリアに悩むサラリーマンに「響くコトバ」がある。個人的に響いた4つをご紹介させていただきます。

君はルフィ。会社は夢をかなえる冒険島だ

 君が夢を叶えようとしたときに、必要になるものってなんだろうか?お金?仲間?電話やウェブとかの通信手段?アジト?人脈?それが全部そろっている場所があるといったら驚くだろうか。それは、いまきみが働いている「会社」だ。実は必要なものは意外に近いところに、一式コンプリートされていたってわけ。

 会社と言う場所は、スゴい資源のカタマリだ。一緒に仕事を進めていける有能な同僚。社内で培われてきたノウハウ。長年かけて育まれた対外的な信用。便利な一等地に構えられたオフィス。個人では絶対に手に入らない情報。そして個人とは比べ物にならない資本力。

 こうしたリソースを個人の力でそろえようとしたら、とんでもないエネルギーと年月が必要だ。でも会社にはすでにそれがある。それを全部タダで駆使できるのが「サラリーマン」と言う立場だ。上手く活用すれば、自分の能力を超えたリソースを使って、自分の想像を超えたリターンが得られる可能性だってあるんだ。

世界を変えたいなら「会社」を使え

 世界を変えたいから、独立する。世界を良くしたいから、フリーランスになって頑張る。素晴らしいことだ。否定すべきものではまったくない。ただ、一方でサラリーマンだって世界を変えることができる。むしろ、サラリーマンの方が「大きく」世界を変える可能性がある。

会社は、君の武器だ。

 いま、君が持っているものが刀だけだとしても、会社は銃であり、大砲だ。そして、戦車であり、軍艦なんだ。そんなすごいものを使わないでどうする?やりたいことを思いっきりやるために、会社を使いたおそう。仕事はシンプルなゲーム。戦略を練り、実行する。部長も、専務も、社長も、自分のアプリケーションのひとつだと思って使いこなせばいい。

 これはきみの人生だ。きみの人生の主導権を取り返そう。 会社は仕事をやらされる場ではない。会社はやりたいことを実現できる場所なんだ。独立すれば、武器はゼロかもしれない。丸腰だ。会社を使って何かできないか、考えてみるんだ。

やりたい事を仕事にする じゃなくて 仕事を使ってやりたいことをやっちゃう

 サラリーマンでいたら、一生、自分がやりたいことは出来ない」、そんなふうに思っていないか?自分がやりたいことと、会社がやりたいことは別だと思っていないか?その考えは、いますぐ捨てよう。「自分がやりたいこと」と「会社がやりたいこと」を重ねることは、意外と簡単にできる。

経理だろうが営業だろうが、すべての仕事はクリエイティブだ

 ぼくはクリエイティブディレクターだ。「こんなことやったらおもしろいんじゃない?」「こういうものがあったら、みんな喜んでくれるんじゃない?」いろいろなクライアントにアイデアを提案して、実行していく仕事だ。そういうぼくが「仕事を楽しめ」なんて言うと、「そういう仕事だから、仕事が楽しいんじゃないの?」と言われることがある。でも、そんなことはないと断言したい。

どんな仕事もクリエイティビティがあれば楽しくなる。

 ぼくが営業をしたって、接客をしたって、同じように楽しめる自信はある。楽しさに職種、業種は関係ないんだ。たとえば、経理だったら「いかに速く仕事をするか」ゲームのように楽しんでみたらどうだろう?社員の書類の提出率を上げるために、どうやったらみんなが気持ちよく書類を提出するようになってくれるかを工夫するのはどうだろう。

 どんな仕事もクリエイティビティがあれば楽しくなる。ゲーム、工夫、実験。ルーティンワークを楽しもうとする姿勢。やるべきことをさっさと終わらせて、成果を出している者に会社は何も言わない。「ひとりカイゼン計画」で期待を越えろ。理想の10年後は今のきみがつくるんだ。さあ、もっと仕事を楽しもう。新しい働き方をつくるんだ。

筋肉ムキムキの社畜は柵を軽々と飛び越える

 社畜という言葉がある。会社に飼われた家畜、自虐的で悲しい言葉だ。自分のことを社畜だと語る人は、会社という側から逃れられない自分をどこかで皮肉っているのだろう。羊みたいに従順で、会社の言うことに逆らえない自分の立場を、諦めつつ、受け入れている。

 同じように会社の柵の中で生きていても、全身がムキムキの、筋肉を鍛えあげたマッチョな羊もいる。そんなマッチョな羊は、作られた柵を軽々と飛び越えて柵を壊すことだってできるだろう。

 毎日の仕事を全力で楽しんでいれば、気づかないうちに、柵を飛び越えたり、壊したりできるくらいの力が手に入る。じゃあ、最初から野に放たれて企業家として生きればいいじゃないかという意見もあるだろう。しかし、会社という柵すら自分の力で乗り越えられないようなか弱い子羊が一度野に出たら、すぐに狼に食べられるのがオチだ。

 社畜社畜と言うけれど、会社は会社という柵でで社員を守っているのだ。いずれ柵から飛び出したいのだとしてもまずは柵の中で力をつければいい。じっくりトレーニングを繰り返すんだ。社畜が社畜でなくなった時、オオカミすらびびらせるようなパワーがついているはずだ。

ぼくは、世界一楽しいサラリーマン---会社をやめずに自由に働く89のコトバ

ぼくは、世界一楽しいサラリーマン---会社をやめずに自由に働く89のコトバ