花も実もある楽しい読書

人生とテニスに役立つ本

『1%の努力』これらを徹底して、楽しく生きる

  「働かないアリ」であれ。

ひろゆきさんの提言は極端なようでいて、至極もっともなことにこう続きます。

「働かないアリ」のように、お金や時間にとらわれない状態になると、チャンスが見えるようになる。

まさしく「サボる才能」があるかどうかが問われる。2時間でやるべきことを1時間で終わらせて、1時間余らせること。さらに、30分で終わらせることができないかと考え続けること。

目的は1つ。死ぬまでの「幸せの総量」を増やすためだ。

ひろゆきさんって優しい人だな、というのが読後感です。既存の価値観を否定するアナーキーな感じを勝手に想像していましたが、人それぞれ、生きやすいように生きたらいいよ、自分はどういう感じが生きやすいかはよく考えようよ、と。

自分は20代は存分に遊び、30、40代は会社の求めに応じてよく働いたので、これからの10年は、好きなことを磨きながら、飄々と楽しく生きたいと考えています。本書には共感できる言葉が多くありました。

片手はつねに空けておけ

ビジネスチャンスが目の前に現れたときに、右手に会社員としての立場、左手に一家を支える大黒柱という状態だと、きっとスルーしてしまうだろう。

サッカー選手の本田圭佑さんは、こう言っている。

「みんなシュートの練習ばかりをする。けれど、そのシュートにつなげるために、敵を抜いたり、いい位置にボールを持っていくことのほうが重要だ。それができて初めて、シュートを練習する意味がある。」

チャンスを掴む話と似ている。チャンスを掴む練習より、いつでもいつでも掴める状態にしておくことのほうが重要なのだ。

なけなしのお金をかけて起業したり、自分の生活を追い込むようなパターンは、お勧めしない。

世間では学生起業して成功するIT起業家の話が有名だが、彼らは決して無の状態で大学を中退して自分を追い込んだわけではない。ヒマで面白がってはじめたビジネスがうまく回りはじめ、どんどん規模が大きくなっていき、次第に授業に出る時間が取れなくなる。そして、まずは休学を選択し、やむを得ず中退しているのだ。

これを勘違いして順番を逆にすると悲劇が起きる。

本当にそう思います。余裕のあるときに、販促のDXという面白そうな仕事を取り仕切る役が目の前にぶら下がってきたので、率先して取らせてもらいました。その仕事が盛り上がってきたところで欠員の代打も頼まれて、過去半年は目の回る忙しさでしたがひと段落。これから改めて深掘りして行くのがとっても楽しみです。

自分にとって何がストレスだろう?

自分にとってのストレスを知っておくと、避けることができる。物理的に避けることもできるが、心理的に避けられるほうがメリットが大きい。

たとえば職場で嫌みを言われたとしよう。

その場合、言い返すほうがストレスか、言い返さないほうがストレスか。

それは人によって感じ方が違うだろう。

言われて嫌なのは全員が同じだが、言い返すほうがストレスに感じるのであれば、ヘラヘラしてやり過ごし、「自分にとっては言い返して戦うほうがストレスのなのだ」と思うようにすればいい。

人間にはキャパオーバーする瞬間がある。

たとえば、寒くて凍死するようなとき、ずっと寒さと戦って、死にそうだ、死にそうだと思い、どこかの瞬間で「ああ、もう無理だわ」と諦めたときに死ぬのだという。

手放すスイッチを、人はどこかで押す。

極限状態におかれても、かろうじて生き残る人と、早々に死んでしまう人がいるのは、その差があるのだろう。

そのスイッチを押す押さないが、先天的なものなのか、それともスポーツのようなもので培われたものなのかはわからない。

ただ、奥さんがいなくなった旦那が早く死んでしまう事実を考えると、「思考のクセ」に理由があると思えるのだ。

4年に一度の世界的イベントが日本で行われ、うちの会社がスポンサーで、たまたま関連プロジェクトのリーダーを勤めることになり、最後の1ヶ月ほどは、誰がどう見ても忙しすぎる日々を過ごしました。

期間中も変更に次ぐ変更で、同僚からは「よく穏やかな顔して耐えられますね」と言われたのですが、自分でもなんでだろうかと考えて見ました。どうやら自分は、解決策を考えるのは好きなことなので、あまり辛くないのですね。

一方で、きちんとやって当たり前の細かな作業を大量に積み重ねるような業務は全く好きではなくて、これが膨大にあった事前準備のほうがストレスは大きかったことに気づきました。

自分にとって何がストレスか。これを理解して、できるだけ逃げる。代わりに得意な人にやってもらう。そうして自分のキャパシティを空けておき、より好きなこと、得意なことで貢献する。極限状態のスイッチを押さなくて済むし、結果としてチームにとってもハッピーなはずです。

やられたときだけ、やり返す

新しいものが潰されないためには、みんなが性善説でいる必要があると思う。

有名なゲーム理論で「囚人のジレンマ」という話がある。

容疑者の2人が捕まって、警察から次のように言われる。

「2人とも黙秘すれば懲役2年になる。1人だけが自白したら、その人は懲役1年。黙秘した方は15年になる。もし、2人ともが自白したらどちらも懲役10年だ。」

このゲームを10回連続でおこなうときに、ある必勝法がある。

それが、「相手が裏切ったら、その次は自分が裏切る」という戦略だ。

世界中の賢い数学者が、さまざまな方法を試したけれど、「やられたらやり返す」という方法が一番強かったのだ。

裏切りがあるからといって、相手が裏切らないように毎回交渉していると、今度は時間がかかってコミュニケーションコストが発生する。

だから、まずは相手が何もしない限りは、自分から裏切ることをしないのが一番だ。

「やられたときだけ、やり返す」

基本的には性善説でいよう。そして、裏切られたら、同じようにやり返す。それが正しい順番である。

チームで仕事をするのが好きだし、基本的に性善説で生きてます。結果として助けられることの方が多いと感じてます。とはいえ、ときには期待を裏切られることはある。そんなときに何もしないのは、かえって非効率なんだな、と気づかされました。

半沢直樹は面白いですが、「やられたら、倍返しだ!」はちょっと重すぎる。「やられたときだけ、やり返す」はわかりやすくていい戦略です。

特殊なポジションに手をあげる

普段、生きていると、「大勢の中で1人しかいない役割」に出くわすときがあるだろう。学校であれば委員長を決めるときだったり、職場であれば飲み会の幹事をやるときだったりだ。

大勢の中で1人しかいない役割は、特殊なポジションとしてメリットが発生する可能性が高い。だから、あまり後先のことは考えずに、手を挙げるといい。

生徒会や学級委員を体験して、直接的に何かトクをしたのかどうかはわからない。だけど、後先を考えずに知的好奇心を満たそうとしても、後からどうにでもなると思えた体験は大きかった。

その考え方は今でも続いている。

再開発で無くなる予定のアパートがあり、そこにあえて住んでみた。何年か後に保証金が出るからだ。家賃3万円の部屋だったが、最後、強制的に退室されられたときには20万円もの金額を支払ってもらった。

後に面倒な手続きは発生するかもしれないが、反射的に手を挙げられるかどうかは、経験がものをいう。

職種別採用の同じ会社で新卒から働いているわりに、新規事業の立ち上げなどをやらせてもらうことが多く、新しいことや変化が、どれも楽しかった経験を持っています。「特殊なポジション」、「大勢の中の1人しかいない役割」、これからの10年も、これには積極的に手をあげていきたいと思います。楽しいし、楽に生きれそう!

自分は『いい人』に見えているか?

グーグルでは、仲間の和を乱さない「いい人」を率先して採用する。ヘタに競争してギスギスするよりも、グーグル内の平和なコミュニティでのびのび仕事したほうがうまく回るからだ。

あなたの会社はどちらのパターンだろうか。

金を稼ぐ目的だけに特化して集まっているのか、コミュニティとしての帰属意識もあるのか。

会社によって雰囲気は違うし、どちらが正解というわけでもない。

自分のキャラを考えて、「いい人」として生きていくのも、「1%の努力」のひとつかもしれない。

たとえば、ある会社で役員に出世するには、必須なキャラがあるかもしれません。でも、大きな会社の中で、自分の得意分野では結果を出しながら、それ以外の場所では、「いい人だけどね」と苦笑されつつ、全体としては楽しく生きていく。そんなことは可能だろうと気づくと、肩の荷が軽くなった気がします。

ゼロイチ以外でできることは何か?

仕事をする人は、次の3つのタイプに分かれる。

① 0から1を生み出す人

② 1を10にする人

③ 10を維持しながら、11、12にしていく人

私が働く会社はロジック重視で、士官学校出身者が社長だったこともあるほど、組織で成果を出すことを徹底する大企業。そもそもゼロイチタイプは少ないと思いますが、やはり上には、強烈なこだわりを持つような、それっぽい人たちもいます。

自分は明らかに①タイプではないですが、ひろゆきさんが得意とする、他人が考えたものを説明する、伸ばせる部分を見つける、改善点を指摘する、そういった仕事は好きです。

ゼロからアイデアを生み出す力はないけれど、そのアイデア、ものごとを前に動かせる人間になるために、手札をたくさん持つ。関連する本をたくさん読んだり、動画をたくさん見る。コネクションや経験を持っていることや、人付き合いがものをいう。

自分を、自分が一番楽しく、楽に活躍できるポジションにおきましょう。

調べる労力を惜しんでいないか?

働かないアリに必要な1つの要素が、「自分の興味のあることに没頭できる」ということだ。

「投資で一発狙いたい」と言っている人に、「iDeCoとNISAは、やってる?」と聞くとやっていないと言われることがある。

それどころか、その制度すら知らなかったりする。

税制的に個人が得する仕組みを、わざわざ国が用意しているのだから、利用しない手はない。

ほんの少し調べれば、NISAやiDeCoがトクなのは誰にでもわかる。それすらも調べられないのであれば、投資なんてしないほうがいい。

興味が出たものは、徹底的に調べる。そして納得するポイントを探る。

「仕事だから調べる」「しょうがないから調べる」ではなく、「知りたいから調べる」を出発点にするのが大事だ。そうやって過程を楽しめる人になろう。

自分は昔から地理や世界史が好きで、それらの勉強は苦になりませんでした。好きなことを調べるのは楽しいし、それで勝率が上がってラクに生きられるなら、そんないいことはありません。 これらのキーワードを徹底的に意識して継続する、という1%の努力で、これからの10年を楽しくしたいと思います!

1%の努力

1%の努力

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