本書は「住宅設計を学ぶ建築系の学生向け」に書き始められたのだが、「もしかすると、これから自宅を建てようとする一般の人にも」これくらいの知識は身につけておいてもらっていいんじゃないか、と軌道修正され、解剖図鑑と相成ったらしい。
そして自宅を建てようとしている訳でもない、家の模様替えの参考書を探していた私も、軽妙な絵と文章、そして経験豊富な建築の先生らしい説得力に引かれて購入したのであった。
なので本書にはもっとたくさんのためになるポイントがカバーされているのだが、私の模様替えの指針としたい箇所を備忘録としてまとめておく。
玄関:靴ぬぎラインはホッとライン
私たちは外出するとき、玄関で靴を履きながら無意識のうちにモチベーションを高めています。反対に、自宅であれ、尋ねた先のお宅であれ、靴を脱ぐと少しホッとした気持ちになります。
- いらないものは撤去。
- 姿見を移設できるか確認。
リビング:リビング=Sitting Room
そもそもリビングとはどういう部屋でしょうか。リビングでしかできないことって何かあるでしょうか。一家団欒、家族会議、読書、新聞を読む、手紙を書く…全部ダイニングでもできますね。
リビングでしかできないこと、リビングでしたいこと、それはおそらく「座ること」です。
- テレビは見やすくもシアタールームにしない。
- 外の景色も楽しめるレイアウトに。
キッチン:料理の手順を意識して
キッチンに納める機器はいくつもありますが、その代表格といえば、冷蔵庫、コンロ、シンクの3つでしょう。そこにまな板を置くスペースを加えたものを、私はキッチン機器四天王と呼んでいます。では、四天王の並べ方を考えてみましょう。
- キッチン機器は料理の手順に従って配列すると良い。
- 自分のルーティーンを踏まえ、スムーズな配列を決める。
収納:モノにはそれぞれ性格がある
モノにはいろんな種類がありますが、それとは別に「出たがりか、そうではないか」という性格の違いがあります。さらに、出たがりにもジョージ(常時)、ズイジ(随時)、イチジ(一時)という3兄弟がいます。
- いつも使うものは出しっぱなしにして、それでも美しくなるような設計を。
- 常時使うものはぶら下げておく。
トイレ:手洗い器があれば哀しくならない
手洗い器だけでなく、鏡やブラケット照明を付ければ、トイレ [TOILET] は化粧室 [POWDER ROOM] に昇格します。お客様が化粧直しできるスペースにもなるのです。
- 鏡は手洗いきと向かい合う正面に設置。
- ブラケット照明は鏡の両サイドに設置。
洗面室と水廻り:水廻りのカードでポーカーを
洗面室・水廻りの設計とは、結局、必要な設備をどこにどう並べるかに尽きます。言ってみれば、変則的なポーカーをするようなもの。カードは5枚、さらにジョーカーが1枚(浴槽、洗い場、脱衣所、便器、洗面器+洗濯機)。さて、この6枚のカード。どのように並べたら1つの水廻り空間としてまとまるでしょうか?
- 脱衣所にはリネン置き場もセット。下着もセットでいいかも。
- 浴室乾燥機を使うなら、洗濯機から浴室、物干し導線を最短化。