花も実もある楽しい読書

人生とテニスに役立つ本

『人生がときめく片づけの魔法』情熱、左脳、右脳が駆使されたプロの仕事

 かの有名な、こんまりさんのベストセラー。モノを選ぶ基準は「触ったときに、ときめくか」といったキャッチャーなワードにあふれる本ですが、彼女が示す片づけの極意は、おそらく何千回にも及ぶ試行錯誤、自分の具体的な経験から抽出された、研ぎ澄まされたシンプルなもの。非常に理論的でもあります。

片づけで必要な作業は「モノを捨てること」と「収納場所を決めること」の二つだけ。大事なのは「『捨てる』が先」の順番だけ。

 本書の冒頭では、こんまりさんが幼児の頃からいかに片づけマニアだったかが記されています。はっきり言って普通じゃありません(笑)大好きだからこそ、子供時代から様々な片づけ法を実践し、試行錯誤を繰り返す。まずその情熱がすごい。その膨大な経験値、具体例から、学びを抽象化し、本当に大切な要素を抽出した過程は論理的。そして「片づけ」で多くの人が感じるメンタルバリア、心の持ちように寄り添い、乗り越えるためのマインドセットをアドバイス。まさに情熱、左脳、右脳を駆使したプロフェッショナルの仕事であり、国境を越えて成功するのもさもありなん、と感じます。

 アートディレクターの佐藤可士和さんが『佐藤可士和の超整理術』という著書で、空間、情報、思考の整理術を紹介しています。空間の整理術=片づけのメソッドですが、その中の見出しに「捨てる勇気が価値観を研ぎ澄ます」「モノの定位置を決めると、把握しやすくなる」とあります。まさにこんまりメソッドと同じ。こんまりさんは「バッグの中身をラグの上にズラリとすべて出し、それぞれの定位置に返していく」ことが日々の片づけの日課だそうです。佐藤可士和さんの空間の整理術も「まずは、身近なカバンの中身の整理から」と促し、ポケットに収まるまでに持ち物を吟味して手ぶら通勤の良さをすすめます。女性と男性の違いはありますが、すごく通ずるものがあります。佐藤可士和さんは、「整理することは仕事の精度アップにつながる」と言っていますが、こんまりさんのアドバイスは、25年選手の勤め人にも学びになります。

人生がときめく片づけの魔法

人生がときめく片づけの魔法

  • 作者:近藤麻理恵
  • 発売日: 2010/12/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
佐藤可士和の超整理術 (日経ビジネス人文庫)

佐藤可士和の超整理術 (日経ビジネス人文庫)