2022年に大ヒットした、セカオワのHabitの歌い出し。
君たちったら何でもかんでも分類区別ジャンル分けしたがる ヒトはなぜか分類したがる習性があるとかないとか この世の中2種類の人間がいるとか言う君たちが標的
本書の第1章でハンス・ロスリングが指摘する分断本能。
人は誰しも、さまざまな物事や人々を2つのグループに分けないと気がすまないものだ。そして、その2つのグループのあいだには、決して埋まることのない溝があるはずだと思い込む。
日本のトップアーティストと世界的な公衆衛生学者が、世界を2つのレッテルに分けることはやめようって言ってます。
ヒトは数十万年をかけて生き抜く本能を磨いてきました。安全か危険か、敵か味方か、素早く判断することが原始時代を生き抜くのに有効だったのは事実でも、現代社会ではその本能がミスリードしてしまう。
Fukaseさんは「壊してみせろよ その bad habit」と歌い、ロスリング氏は、世界を正しく理解してよりよい行動がとれるように「ファクトフルネスという習慣を取り入れよう」と言いました。分断の時代と言われる今こそ、この本は読み返す価値がありますね。
bad habitを壊して新しい習慣を身につけるには本書を丁寧に読んでもらうとして、人が分断本能に引きずられやすいことに気づかせるデータと、よりよい対応がとれる分類方法の例を第1章から紹介しておきます。
「発展途上国では母親が生む子供の数は多く、子供が乳幼児期に死ぬ確率は高い」。この構図を説明した下のバブルチャートはいたって理解しやすいもの。
確かにこのデータは事実なのですが、実は1965年のもので、2017年のものは下図。中国とインドという二大人口大国を表す2つの大きな円だけでなく、ほとんどの円が、先進国と括った枠の中に。
では、先進国と発展途上国という2つの分類に意味がないとすればどうするか。
著者は所得に応じてレベル1、2、3、4と分類します。ひとりあたりの1日あたりの所得、2ドル、8ドル、32ドル、3つの線で区切ると世界人口70億人が下記のように分かれます。
先進国、発展途上国という分け方は文字通り国ごとの分類ですが、現実にはそれぞれの国の中にも様々な生活水準の人々が暮らしています。国が違っても同じレベルに分類される人々の移動方法や調理方法なども似通っています。「Dollar Street」という、所得レベルごとの生活水準を写真で並べるツールでも我々の理解を助けてくれます。
ビジネス、ソーシャルイノベーション、子育て。本書が教えてくれる、人が本能的に持ちやすい10の思い込みと、状況を正しく理解するための適切なデータの見方、考え方は、とても大切なことに気づかせてくれそうです。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
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