27. サピエンス全史 ユヴァル・ノア・ハラリ <人類はどのように文明を発展させ幸福に至るか>

 人類、ホモ・サピエンスが他の類人猿を圧倒して生き残らせたのが「認知革命」。その後の文明を可能にしたのが「農業革命」と「科学革命」。人類の幸福のために、今後何が必要か。

 大きなスケールで考えるきっかけになります。人類が発展した契機が認知革命、膨大な数の見知らぬ同士を共通の思いによって協働させる事だったとしたら、新しい科学、テクノロジーを使えば、また違った形で見知らぬ人同士を結びつけ、動かし、発展することが可能でしょう。農業革命が貨幣、信用経済を生み出したように、最先端の科学が新たな信用を生み出して、既に始まっているシェアエコノミーしかり、フォロワー数などに連動した信用供与などは、大きなビジネスとなるでしょう。

 

<認知革命>

 7万年前、突然変異によって人類は抽象的な概念を共有できる能力を身につけました。膨大な数の見知らぬ同士が、虚構、共通の神話を信じることによって、首尾よく協力できるようになり、単体の動物としての能力を大きく超えた共同作業が可能になりました。

 あらゆる人を納得させ、誰からも信じてもらえる物語を語ること。困難ですが、成功すれば大規模な協力が可能になります。もうひとつの巨大な変化は、別の物語を語ること、信じることで、振る舞いを一気に改めることが可能になったこと。文化の進化は、単体の動物種であれば何千、何万年かかる遺伝進化を迂回可能になったのです。

 

<農業革命>

 単位面積あたりでより多くの人を生かしておく能力こそが農業革命の真髄。実は多くの人にとって、生活水準を上げるものではないのです。贅沢品は必需品となり、新たな義務を生じさせます。つまり、いったん慣れれば、当たり前と思い、頼り始め、なしでは生きられなくなるのです。古代農耕民は、貧しくとも増えた所有物を失いたくないので狩猟民には戻れず、将来の不安に備えるべく厳しい労働に勤しみました。

 私たちが特定の秩序を信じるのは、正しいから、ではなく、それを信じれば効果的に協力して、より良い社会を作れるから。これまで考案された中で貨幣は最も普遍的で、最も効率的な「相互信頼」の制度です。宗教は特定のものを信じるよう求めますが、貨幣は他の人々が特定のものを信じていることを信じるように求めます。

 

<科学革命>

 1620年、フランシス・ベーコンは「新機関」の中で「知は力なり」と語りました。知識の真価は、それが正しいかどうかではなく、私たちに力を与えてくれるかどうか。

 政治と経済が、科学の研究を支援し、科学は援助へのお返しとして、新しい力、資源の獲得を促し、そしてまた再投資されました。ヨーロッパの帝国主義者は、新たな領土とともに新たな知識を獲得することを望み、遠く離れた土地を目指して乗り出しました。

 近代経済が信奉する「成長」とは、人間の驚くべき想像力の賜物。経済全体が、生き残り、繁栄できるのは、私たちが将来を「信頼」しているから。「信頼」が世界に流通する貨幣を支えています。「信用 Credit」に基づく経済活動によって、私たちは将来のお金で現在を築くことができるようになりました。成長イコール正義、自由、安定であり、幸福は資本主義によってもたらされると。

 

<幸福とは>

 ニーチェは語りました。「あなたに生きる理由があるのならば、どのような生き方にもたいてい耐えられる。有意義な人生は、困難のただ中にあってさえもきわめて満足のいくものであるのに対して、無意味な人生は、どれだけ快適な環境に囲まれていても厳しい試練にほかならない。」

 

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

 

 

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福