花も実もある楽しい読書

人生とテニスに役立つ本

『そして、バトンは渡された』暖かい気持ちになる素敵な小説

母親が二人、父親が三人。親の死別や離婚が繰り返され、高校生の今は二十歳しか離れていない"父"と暮らす優子。悲しいこと、切ないことはたくさんあった。でも、周りからよく同情されるけれど「困った。全然不幸ではないのだ。」と思える彼女。 彼女との出会…

『ジャック・ライアンシリーズ』トム・クランシーによる最高のテクノスリラー小説

冷戦期に作家デビューしたトム・クランシー。軍事や諜報活動を扱うテクノスリラーとして、政府関係者にも評価されるほどリアリティがあるのですが、それだけにとどまりません。ハリソン・フォード主演で映画化されるほど魅力的な登場人物たち。そして何より…

『運転者』自分の機嫌は自分でとろう。小説として面白い自己啓発書

無料で読めるAmazon prime readingの小説の中でも評価が高く、七十代の方が「いくつで読んでも胸に響く」とコメントされていたのが印象的でした。 不運を嘆くばかりの四十路の営業マンが、不思議なタクシーとの出会いから変わっていくファンタジーです。 胸…

『日本史サイエンス』神風や天才だけが理由じゃない。文系x理系的アプローチで「歴史の謎」を解明する。

日本史、世界史の「歴史の謎」。真実を知るにはタイムマシンが必要? 史料を最大限活かした合理的な条件設定と、基礎的な物理の法則に基づく証明。2つを組み合わせることで生まれた説得力のある仮説を、大いに楽しみました。 著者の播田安弘氏は船舶設計の…

『父滅の刃』父親として、父性すなわち規範と方向性を示そう

やるべきことやってなかったな。本書を読んで自分は少し反省しました。 精神科医で作家の樺沢紫苑氏が父性をテーマに出した作品を、大ブームとなった『鬼滅の刃』にインスパイアされて加筆、改題して2020年に再版した本書。 中身を表しながらもキャッチ―なタ…

『最後の医者は桜を見上げて君を想う』生を全うしよう、と背中を押してくれる小説

人の死を描いて、こんなにも生への希望を感じさせる小説はすごいです。 あなたの余命は半年です―ある病院で、医者・桐子は患者にそう告げた。死神と呼ばれる彼は、「死」を受け入れ、残りの日々を大切に生きる道もあると説く。だが、副院長・福原は奇跡を信…

『下町ロケットシリーズ』明日から頑張ろう。すべての働く人への応援歌

ドラマ化されている池井戸潤氏の人気シリーズのひとつ。『半沢直樹シリーズ』同様、必ず最後に正義は勝つw ただし、半沢シリーズが「ヒーローもの」だとすれば、こちらは「人情もの」の良さがあります。 かたや、超絶優秀な銀行員、半沢直樹による、とてつも…

『邦人奪還』元自衛隊特殊部隊小隊長が描く、手に汗にぎる軍事小説

著者の伊藤祐靖氏が、自衛隊初の特殊部隊、海上自衛隊特別警備隊の元小隊長! ご自身が『書いているほとんどにはモデルがいますし、ストーリーや物語設定は架空ですが、切り取った「部分」は事実なんです。その意味では、見たことをそのまま書いているだけだ…

『2060 未来創造の白地図』未来に希望を抱かせる秀逸なテクノロジーカタログ

未来を読み解く本として人気の『ホモ・デウス』では、データテクノロジーや遺伝子工学の発展が、後戻りのきかない格差や暴走をもたらすリスクが描かれました。本書で川口伸明氏はこう語ります。 ヒトは、神人になるのではなく、飽くなき冒険の旅を続ける存在…

『ホモ・デウス』歴史を通じて人類を発展させてきた方程式を考える

『サピエンス全史』でハラリ氏は、人類の歴史を振り返り、認知革命、農業革命、科学革命が、が人類を発展させてきたことを教えてくれました。第二弾の本書では、認知、農業、科学という新しい力を活用するために欠かせなかった「虚構」という要素を深堀して…

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』歴史を正しく学び、正しく使う。本書を読んで考えたこと。

日清戦争から太平洋戦争まで、日本人はなぜ戦争を選んだのか。本書は東大文学部教授で歴史学者の加藤陽子氏による、栄光学園歴史クラブの中高生との5日間にわたる対話式授業のまとめです。 日清、日露、第一次大戦、日中戦争、そして太平洋戦争。日本はなぜ…

森浩美 家族短編集シリーズ 家族とぶつかったら1、2章服用しましょう。いい切り替えができます。

家族なのに、傷つけあう。家族だけど、わからない。夫婦や親子でけんかをしたり、不安にさせたり心配をしたり。誰しもあると思います。 気持ちがささくれだったとき、森浩美さんの家族短編集を読むと、気持ちがほわっとします。家族の大事さを思い出させてく…

『三体 II 黒暗森林 上・下』普遍的な真理、有効な戦略は単純。発想が大きくなるSF小説

第一巻『三体』で双方の存在を知った三体文明と地球文明。三体文明から地球を侵略すべく送り出された星間艦隊が地球に到達するのは四百数十年後。現時点では科学技術で圧倒する三体文明だが、それだけの時間があれば地球文明は十分に対抗可能な科学技術を発…

『2100年の科学ライフ』一流の科学者が300人の各界トップと作り上げた未来予測の本

著者のミチオ・カクさんは日系3世のニューヨーク市立大学理論物理学教授。アメリカで有名な未来学者でもあります。 専門家が自分の意見をまとめた未来予測本や、各分野の専門家へのヒアリングによる本は色々あります。しかし、現役バリバリの科学者が、300…

『俺か、俺以外か。』ローランドはしっかりした経営者、セルフプロデューサーだ。

美容室で興味本位でパラパラとめくり、この人はとてもまじめだな、と感心させられました。彼の言葉として有名な本書のタイトル。「俺」以外を見下しているのではなく、切磋琢磨し続け、何としても「俺」であり続けようという覚悟なんですね。日本一のホスト…