外資系父ちゃんがすすめる100冊

妻と二人の愛娘と暮らす40代外資系課長です。続く転勤、キャリアの壁、夫婦関係など、不惑を過ぎて惑う日々。教養、ビジネス、夫婦関係、小説、マンガ、心に響く読書を通じて、悩める40代が制約を乗り越えて自由を拡大する。本の中身を実践しつつ紹介します。

22. 夫に死んでほしい妻たち 小林美希 <妻視点の不満を理解>

 過激なタイトルで夫としては一瞬動揺しますよね。著者は女性の就業継続等に精通した、団塊ジュニア世代の女性ジャーナリスト。いったい何が、妻たちをそう願うまでに追い詰めているのか。その原因を紐解いていけば、社会に共通の問題が見えてくるのではないか。おおもとのメッセージはしごくまじめで、インタビューに登場する多く取材対象者の妻たちのダメ夫に対する不満が、シリアスだけどしめっぽくならないあたり、著者の文章力の高さで読みやすい本です。

 読んでみて、「離婚したい」と思う妻より、「死んでほしい」と思う妻の気持ちの方が、自分には想像できてしまいました。ちょっと怖いけど。人並みに稼いで、浮気も浪費もせず、週末は家事を手伝い、子供と仲の良い夫。そんな俺と、妻が離婚したいと思うわけがない。むしろ、俺はこんなにがんばってるのに、なんでうちの妻はこんなに不満が多いんだ。なんて思ってる夫は多いのではないでしょうか。実際、経済力や子供のことや世間体など、いろんな理由があって、離婚は望んでいない妻が多いと思います。でも、「死んでほしい」(もちろん倫理観があるので殺しはしないし、めったなことでは言わない)と思われることは、ありそうだなーと、すごく納得してしまいました。

 キャバクラで収入を使い果たして耐乏生活を強いるとか、子宮摘出した妻に「女として終わったな」と言い放つとか、老後に過去の浮気の思い出話をするとか、そりゃ「死んでほしい」と思われるでしょ、っていうエピソードもありますが、自分もやった、言ったような、あるあるエピソードも複数あって。。。それはつまり、同じことが世の中でたくさん起きてる、多くの女性が被っている不合理がこの社会にある、それが彼女たちの尊厳、プライドをいたく傷つけているんだなと。そして女性という生き物は共通して、過去の恨みは忘れないんだなと。

 夫のキャリアと同じぐらいに妻のキャリアを重要視しない。夜泣きする赤ちゃんの世話を、明日の仕事に差し障るからとすべて妻に任せる。無収入であることに引け目を感じている妻に、プライドを傷つけるような発言をする。食べ物の恨みは恐ろしいのに、妻が食べる食事をちゃんと手配しない。送りから迎え、料理から片付け、面倒なところを完結していないのに家事をした気になっている、などなど。だからといって、夫の収入は欲しいし、子供の父親も大事だし、世の中生きづらくなるしで、離婚はしたくないけど、死んでくれたら、保険も入るし、すっきりする、って妻は多いんでしょうね。

 夫は「こんな妻とは離婚したい」って想像をして、妻は「こんな夫は死んでほしい」と想像していると思うと、なんかどっちが損してるわけでもないだなと。離婚や死別前提の夫婦関係を望むより、「対等である関係を築いた方が前向きではないか」という著者の意見に納得し、出来ることを対等にやっていこう、と思う夫でした。

 

夫に死んでほしい妻たち (朝日新書)

夫に死んでほしい妻たち (朝日新書)