転職ハウツー本ではありません。自分の働き方、働く場はこのままでいいのかと悩んだ人が、「いつでも転職できる」という選択肢を持つことで、自分も、職場も、絶対によくなる。そういう熱いメッセージを送る本です。
転職を考え始めた悩める青年と、彼に厳しくアドバイスする師匠の対話、物語の形式で進みます。語り口も面白くて読ませますし、転職活動をする際の、選択肢の広げ方や面接の準備なども学べます。それ以上に、我々サラリーマンが人生の大きな部分を費やす会社との向き合い方、働く場の選び方を、よりよくするためのアドバイスが目からうろこであり、その熱さが心地よいです。
中でも、面白く85%読み進めたところで衝撃を受けました。自分の中でどこかしっくりきていなかったことが文章化されて、そして「それでいいんだ」と認められて、びっくりしてしまったのです。
to do(コト)に重きをおく人間・・・何をするのか、で物事を考える。明確な夢や目標を持っている
being(状態)に重きをおく人間・・・どんな人でありたいか、どんな状態でありたいかを重視する
実際のところ、99%の人間が君と同じ、being型なんだ。そして、99%の人間は「心からやりたいこと」という幻想を探し求めて、彷徨うことが多い。なぜなら、世の中に溢れている成功哲学は、たった1%しかいないto do型の人間が書いたものだからだ。
好きなことがあるということは素晴らしいことだ。だが、ないからといって悲観する必要はまったくない。なぜなら「ある程度やりたいこと」は必ず見つかるからだ。そして、ほとんどの人が該当するbeing型の人間は、それでいいんだ
偉人が活躍する歴史小説は好きですし、勉強と思い起業家の本もたくさん読みました。明確な夢や目標を持つことが大事(らしい)、とは思っていました。
でも、友達や家族と心地よく過ごしたい、やりがいをもって頑張れる仕事をしていたい、別に立派な人間じゃないけど後ろ指をさされない生き方はしていたい、という気持ちの方が、はるかに自分らしいのです。
「being型」でいいんだ、それが普通なんだ、と言ってもらって嬉しかったです。
そんなbeing型の人間が、仕事を楽しむために必要な二つの条件がこちら。
1:マーケットバリューを高める(環境に対する適切な強さを持つこと)
多くの人間は、幼少期から勉強や、運動、仕事など多かれ少なかれ「何かしらの努力」を積み重ねている。そして常に「倒せそうで倒せない」ような、環境を経て成長する。つまりbeing型の人間にまず、必要なことは、主人公である自分が環境に対して適切な強さであるかどうかなんだ
マーケットバリュー=君の箱の大きさ(後述)、それがビジネスマンとしての強さなんだ。会社がつぶれても生きていける強さ。だから私はまずマーケットバリューを高めろ、と話してきたんだ。つまり、仕事を楽しむためには「マーケットバリューがある程度あること」「求められるパフォーマンスとマーケットバリューがある程度釣り合っていること」は必須条件なんだよ
2:仕事でつく小さな嘘を最小化する(自分を好きであることが必要だから)
自分への信頼とは、「自分にうそをつかないこと」だ。そして、being型の人間にとって、自分への信頼を保つのは難しい。嘘をつかざるをえないとき、「やりたいことのためには手段を選ばない」という言い訳ができるto do型の人間と違って、being型は精神的に逃げ場がないからな。いくら強くなっても、仕事で嘘をついている限り自分を好きにはなれない
そしてbeing型の人間に必要なもうひとつの要素、「緊張と緩和のバランス」
思い返してみろ。テストに向かって頑張り、テストが終われば解放される。部活でいえば、試合に向かって頑張り、試合が終わればリラックスする。仕事でいえば、大事なプレゼンに向かって頑張り、終わればリラックスする。つまり、人生は緊張と緩和の繰り返しでできている
そのバランスが緩くなりすぎたり、キツくなりすぎているなら、ゲームをかえるタイミングだということだ
「緊張と緩和のバランス」が適切かを見極めるには、この半年の間に強い緊張を感じた場面を書き出してみることだと。
悪い緊張が10以上ある(社内目線であることが多い) → 職場を変えた方がいい
いい緊張(特に社外)が3つ未満 → より難しい業務や新しいことに挑戦する
もうひとつ、全体を通じて何度か出てくる言葉なのですが、あまり詳しく説明されないのが「ポジショニング」。最後にこうまとめられています。
以前なら僕はこう思っていた。仕事を楽しむこと、それは選ばれた人間だけの特権なのだと。だが、今は少し違うと感じる。
仕事選びとは結局、思考法の問題なのだ。どこを選ぶか、誰と働くか、それを間違わないこと。そして、ポジショニングとは「思考法」ひとつで、誰れでも解決できるものなのだ。
「自分探しよりも、居場所探し」(人生やらなくていいリスト 四角大輔)ですね。
このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法
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