外資系父ちゃんがすすめる100冊

妻と二人の愛娘と暮らす40代外資系課長です。続く転勤、キャリアの壁、夫婦関係など、不惑を過ぎて惑う日々。教養、ビジネス、夫婦関係、小説、マンガ、心に響く読書を通じて、悩める40代が制約を乗り越えて自由を拡大する。本の中身を実践しつつ紹介します。

2. 超AI時代の生存戦略 落合陽一 <これからの時代をどう生きるか>

AI(Artificial Interigence)やシンギュラリティ(人工知能が人間の知性を超えて人間生活に大きな変化が起きる時)が話題ですが、日本のAI第一人者が、AIの何たるかよりも、AI時代に必要な人間のスキルについて語った本です。

テクノロジーの広まりによって人間が活躍すべき分野は変化するから、何を意識して行動していくべきか。AIの本質をシンプルに説明したうえで、科学、ビジネス、アートと幅広い分野で活躍する(ものすごい切れ者であろう)筆者のアドバイスは、AIの理解という学術的な知識を超えて、参考になります。

2016年にイ・セドル囲碁で打ち破ったのは、実は機械ではない。囲碁の専門家ではないが、コンピュータ親和性の高いエンジニアリングの専門家と、人類がインターネット上に蓄積した集合知によるコンピュータプログラムが打ち破ったのだ。人工知能の発展によって、2040年代に職がなくなるという漠然とした展望に何の価値があっただろうか?その多くは全盛期の終末論に似ていた。

「人間対機械」ではなく、「人間対機械を操る人間」の争いになる。すごくわかりやすいと思いました。人間が要らなくなるわけでは全くない、というのは心強い。ただ機械を操る人間の方が圧倒的に効率がいい、とは絶対にその通りで、「コンピュータ親和性の高い」人間でないと、搾取される側に落ちてしまう、と。

これからは、「ワーク“アズ”ライフ」を見つけられたものが生き残る時代だ

いつでもどこでも情報と繋がり、それゆえにいつでも仕事とプライベートが混在するような世界になった今、ワークがライフでない時点で、「ワークライフバランス」という言葉は実生活と矛盾している。ワークアズライフでバランスを求めるものは、「ワークとライフ」ではなく「報酬とストレス」。働く時間と休む時間という捉え方より、ストレスのかかることとかからないことのバランスが重要だ。

ギャンブル・コレクション・心地よさ

遊びの中で、自分が何をすれば喜ぶか、つまり自分にとっての「報酬」には3つ。射幸心としての「ギャンブル的な報酬」、収集欲としての「コレクション的な報酬」、より体感的な「心地よさの報酬」。これら3つの報酬がワークにあれば、継続性を生む。

「ギャンブル的な報酬」は、うまくいくかどうか、ドキドキしてテンションがあがること。営業で商談が成功するかどうか、はわかりやすい例だし、毎日の会議で少しだけヤマを張った提案を入れてみて、たまにうまくいくとテンションが上がるかも。

「コレクション的な報酬」は、積み上がっていることを「見える化」することが大事。成果や進捗を可視化させたり、わかりやすくすることが必要になる。そうするとゲーム的に続けやすくなるし、他人にアピールすることができるようにもなる。

「心地よさの報酬」は、「じゃあ、五感をしっかり使っていこう」となるわけで、「おいしいものが食べられる場所に出張に行こう」とか、「いい音楽が聴けるような場所にしよう」などということを意識してやっていくべき。

自分が喜び、社会を喜ばせる。「社会の喜び」といっても無理に喜ばせることはなくて、遊びにおいては、まずは「自分がよければいい」というところが重要。自分が何で喜ぶかかだけを最初に押さえ、そこからの完成物を磨いていくこと。

時代の速度より遅い進捗、いくらやってもゼロになる

 今、インターネットの普及で、他人がやったことはすぐに学習、コピー可能に。年功や資格の優位性はどんどんテクノロジーに置き換えられ、そういった機能は「リストラ」されてしまう。機械で代替できる「ムダな時間」はどんどん省かなければならない。そうして自分が一番精通しているニッチを淡々と深め、ブルーオーシャン(未開拓な市場)を拓いていく。

 人間は、時間や締め切りに追われる。これからは締め切りに終われる慣習の一つ一つに対して、「そんなことをやって何の意味があるんだ?」と敏感になって、ツール、機械のサポートをなるべく使って、自由な時間、遊びの時間を稼いで行くべき。

 機械によって置き換え可能ないろんな「中間工程」がどんどん不必要な作業になっていく。なので我々は、「ツールを使う」「中間の工程をあまり気にしない」「機械にできることを極力やらない」ことが非常に大切になってくる。その分、長期的なアウトプットと、遊ぶことに時間を使う。非合理的な時間が、むしろ人間に大事になってくる。

ストレスフリーになろう

 仕事で溜まったストレスを違うことで発散していたとしたら、その仕事の選び方は間違っていることになる。理想的なのは、仕事で溜まったストレスが仕事の中で報われて、仕事の中でストレスから開放される、仕事内で完結してしまえること。自分にとっての報酬が何かを踏まえて、「ストレスが解消できる場所」と「ストレスが溜まる場所」を明確にしておくと、意識的にバランスがとりやすくなる。

 また、「他人と比べない」ということも重要。例えば奥さんが自分とよその夫を比べるのはコントロールできないが、自分で自分をよその夫と比べていいの悪いのと奥さんと言い合うのはムダ。よそと比べて自分が割りを食ってるかどうかじゃなくて、自分にとって家庭内でストレスが解消できる時間と溜まる時間のバランスが取れているかどうかが大事。

 今はストレスフルだと思っても、それは他人と比べたことによって出てくるストレスなのか、単純に肉体の疲れなのか、一歩引いて考えてみなくてはならない。

体を鍛える、体を動かすことは今後より意識的に行わなければならない。中間工程が省かれる中で、通勤や外回りなどの「肉体労働」も減り、意識しないと体を動かさなくなってしまう。デジタルツールをうまく使って、自分の報酬系を刺激して継続しよう。

何が自分にとって「エモい」のかを知っておく必要がある。

 コンプレックスとはマイナスのエモさ(感情の揺れ動き)。「何が自分のコンプレックスかを知っておく」、そして「隠さない」ことである程度制御できるようになる。

コンプレックスには、「強い憧れがあるけれどそれが達成できない」、そして「他人から見て劣っている」という2つのパターンがある。まず、前者は実は無意味であって、人間には出来ることしかできないから、出来ることだけやればいい。憧れてもいいがコンプレックスに感じる必要はない。次に後者は平均値と比べて低いことによるコンプレックスなのであるが、「そこで戦わなければいい」。これから私たちが戦うべきなのは「ブルーオーシャンを探す」という方向。私たちの平均値的なことは、これから全てコンピュータがやるようになってくるので、平均値よりもピーク値が高い人の方が重要になる。

土地の価値は、人の移動が民主化したときに大きく変動する

 自動運転がはじまると、家から会社までの出勤が非常に楽になるから、家や土地の場所はどこでもよくなる。移動コストがどんどん安くなるので、安くて広い家に住んでもまったく問題がないわけだ。将来引っ越してもいい体制をとっておきましょう、ぐらいに、自由に様々な選択肢で住むところを選ぼう。

変動しない財になっているものや浪費されていくものは、今後価値を持たない

 ワークアズライフになると、企業から抜けたらそこで職が終わるということにならない。老後という概念で働かないということになると貯金は大事になるけれど、死ぬまで働くとするなら、老後という概念はなくなる。保険で、予期せぬリスクをカバーできるなら、貯金はいらないという考え方もある。

 お金を使う時に「投資」という概念があったほうがいい。株式投資やFXなどではなく、広い意味での投資だ。人にご飯をおごることも広い意味での投資だ。だから、自己投資にどんどんお金を使っていいだろう。貯金という形でプールすれば、それは増えもしないし減りもしない。自分の能力やチームにお金を使えば、それは増えているようなものだ。一生ある仕事をするわけではない時代なので、自分に投資をして、仕事を変えていくというのもキーワードになるだろう。

 

超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト

超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト