2. 超AI時代の生存戦略 落合陽一 <これからをどう生きるか>

    AI(Artificial Interigence)やシンギュラリティ(人工知能が人間の知性を超えて人間生活に大きな変化が起きる時)が話題ですが、タイトル通り、AI時代に必要な人間のスキルについて語った本です。

    テクノロジーの普及によって人間が活躍すべき分野は変化します。その時何を意識して行動すべきか。AIの本質をシンプルに説明したうえで、科学、ビジネス、アートと幅広い分野で活躍する筆者が提示するアドバイスは、AIという一要素を超えて、参考になります。

2016年にイ・セドル囲碁で打ち破ったのは、実は機械ではない。囲碁の専門家ではないが、コンピュータ親和性の高いエンジニアリングの専門家と、人類がインターネット上に蓄積した集合知によるコンピュータプログラムが打ち破ったのだ。人工知能の発展によって、2040年代に職がなくなるという漠然とした展望に何の価値があっただろうか?その多くは全盛期の終末論に似ていた。

「人間対機械」ではなく、「人間対機械を操る人間」の争いになる。化粧品の営業企画をしていた頃、AIによるお客様サービス導入を発表すると、美容部員達から「自分達はいらなくなるのでは」と心配する声が出ました。人間が要らなくなるわけでは全くない一方で、機械を操る人間の方が圧倒的に効果的なサービスが出来ることを説明。「「コンピュータ親和性の高い」人間でないと、搾取される側に落ちてしまう」という筆者の指摘には陥いることなく、モチベーションを持って働いてもらうために、彼女達を納得させていく必要がありました。

これからは、「ワーク“アズ”ライフ」を見つけられたものが生き残る時代だ

  いつでもどこでも情報と繋がり、それゆえにいつでも仕事とプライベートが混在するような世界になった今、ワークがライフでない時点で、「ワークライフバランス」という言葉は実生活と矛盾すると。ワークアズライフでバランスを求めるものは、「ワークとライフ」ではなく「報酬とストレス」。理想は、仕事のストレスは仕事内で解消する、休日の趣味が仕事にもつながる状態。働く時間と休む時間という捉え方より、ストレスのかかることとかからないことのバランスをとる、ということ。実際、楽しい仕事はストレスじゃないですからね。

ギャンブル・コレクション・心地よさ

  遊びの中で、自分が何をすれば喜ぶか。人間にとっての「報酬」には3つあって、射幸心としての「ギャンブル的な報酬」、収集欲としての「コレクション的な報酬」、より体感的な「心地よさの報酬」。これら3つの報酬が仕事の中ににあれば、継続性を生む、と。

「ギャンブル的な報酬」は、うまくいくかどうか、ドキドキしてテンションがあがること。営業で商談が成功するかどうか、はわかりやすい例。ワークプランの中に、常に5分の1、新しい試みを入れてみる。スロバキア人の上司が、同じことを続けているとラーニングカーブが下がってくるから、必ず毎年のコア業務に一つ組み込んで上司と合意していると教えてくれました。彼が直の上司の今年は、チームメンバーと一緒に会社に新しい営業ツールを定着させることに、大きく賭けてみようと思います。

「コレクション的な報酬」は、積み上がっていることを「見える化」することが大事。成果や進捗を可視化させたり、わかりやすくすることが必要になる。そうするとゲーム的に続けやすくなるし、他人にアピールすることができるようにもなると。データが膨大になりタブレットなどのインターフェースも進化した今、エクセルチャートじゃなくて、直感的にわかりやすいトラッキングツールは、人のアクションを促す有効な武器になるはずです。

「心地よさの報酬」は、「じゃあ、五感をしっかり使っていこう」となるわけで、「おいしいものが食べられる場所に出張に行こう」とか、「気持ちよく作業が出来るツールだけで仕事をしよう」などということを意識してやっていくべきだと。自分が喜び、社会を喜ばせる。「社会の喜び」といっても無理に喜ばせることはなくて、遊びにおいては、まずは「自分がよければいい」というところが重要。自分が何で喜ぶかかだけを最初に押さえ、そこからの完成物を磨いていくこと。そこまで行けば社会も喜ぶ。納得です。

時代の速度より遅い進捗、いくらやってもゼロになる

 今、インターネットの普及で、他人がやったことはすぐに学習、コピー可能に。年功や資格の優位性はどんどんテクノロジーに置き換えられ、そういった機能は「リストラ」されてしまう。機械で代替できる「ムダな時間」はどんどん省かなければならない。そうして自分が一番精通しているニッチを淡々と深め、ブルーオーシャン(未開拓な市場)を拓いていく。人間は、時間や締め切りに追われる。これからは締め切りに終われる慣習の一つ一つに対して、「そんなことをやって何の意味があるんだ?」と敏感になって、ツール、機械のサポートをなるべく使って、自由な時間、遊びの時間を稼いで行くべきだと。基礎的なビジネススキルは一通り身につき、それなりに優秀だけど、サラリーマンとして飛び抜けているわけでもない。機械によって置き換え可能ないろんな「中間工程」がどんどん不必要な作業になっていく。自分がこのまま同じことを繰り返しても意味がない。「ツールを使う」「中間の工程をあまり気にしない」「機械にできることを極力やらない」。そして好きでないことを極力やらない。その分、自分が個人的に好きな仕事、若い子達がもっと力を発揮出来るように導いたり、新しいツールや仕組みを定着させることに時間を使います。

ストレスフリーになろう

 仕事で溜まったストレスを違うことで発散していたとしたら、その仕事の選び方は間違っていることになると。ワークアズライフの考え方でも教えられましたが、理想的なのは、仕事で溜まったストレスが仕事の中で報われて、仕事の中でストレスから開放される、仕事内で完結してしまえること。自分にとっての報酬が何かを踏まえて、「ストレスが解消できる場所」と「ストレスが溜まる場所」を明確にしておくと、意識的にバランスがとりやすくなる。

 また、「他人と比べない」ことも重要。奥さんが自分とよその夫を比べるのはコントロールできないが、自分で自分をよその夫と比べていいの悪いのと奥さんと言い合うのは無意味。自分が家庭内で、ストレスが解消できる時間と溜まる時間のバランスが取れているかどうかが大事。そうしてバランスをとっていると、ツノ付き合わせること自体が減ります。

    体を鍛える、体を動かすことは今後より意識が必要、なぜなら中間工程が省かれる中で、通勤や外回りなどの「肉体労働」も減り、意識しないと体を動かさなくなってしまうから、というのは間違いありません。ストレス自体が適切な睡眠によって解消、減少するのも事実。自分の報酬系を大いに刺激する、テニスの試合をする機会を増やし、いい睡眠をとりたいと思います。

土地の価値は、人の移動が民主化したときに大きく変動する

 自動運転がはじまると、家から会社までの出勤が非常に楽になるから、家や土地の場所はどこでもよくなる。移動コストがどんどん安くなるので、今日の基準だと多少通勤に不便でも安くて広い家、でもまったく問題がないわけだ。将来引っ越してもいい体制をとっておきましょう、ぐらいに、自由に様々な選択肢で住むところを選ぼう、と。癒される自然環境など、自分の好きな環境に身を置くことを優先していきましょう。

変動しない財になっているものや浪費されていくものは、今後価値を持たない

 お金を使う時に「投資」という概念があったほうがいい。株式投資やFXなどではなく、広い意味での投資だ。人にご飯をおごることも広い意味での投資だ。だから、自己投資にどんどんお金を使っていいだろう。貯金という形でプールすれば、それは増えもしないし減りもしない。自分の能力やチームにお金を使えば、それは増えているようなものだ。自分の好きなこと、自分の大切な人、面白い体験には、丁寧かつ積極的にお金を使っていこう。

 

超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト

超AI時代の生存戦略 ―― シンギュラリティ<2040年代>に備える34のリスト